マナーうんちく話79≪飽食の国のマナー②≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:和食テーブルマナー

マナーうんちく話79《飽食の国のマナー②》

食事のマナー4、「賢い食生活のお勧め」

「飽食の時代」といわれるようになり、4半世紀になりますが、この言葉の裏には、「食べ過ぎ」「食べ物を粗末にする」「食べ物の好き嫌い」等を戒めるという意味が存在していると思います。しかし、最近ではそのようなことは当たり前になり、注意を促したり、警告を発したりということもなくなりました。

そして、今の日本は、すっかりグルメブームになり、テレビでも、料理番組はどのチャンネルでもあります。料理教室も繁盛していますし、本も沢山出版されています。デパート、スーパー、コンビニでも様々な食品が並び、24時間欲しいものが手に入ります。
皆さんのお家の台所を見て下さい。和食は勿論、洋食、中華セットまでお揃いだと思います。実に贅沢であり、またうれしいことでもあります。
しかし、その陰に多くの矛盾がある事も見逃せません。具体例をあげてみます。

○現代型栄養失調
カロリーは足り過ぎるくらいあるのに、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足している状態が「現代型栄養失調」です。またペットボトル症候群による砂糖の取りすぎにも注意が必要です。さらに加工食品の取りすぎも問題です。

○朝食の欠食による脳の栄養失調
欠食及び偏食が、育ち栄りの子どもの身体や心にどれだけ悪影響を及ぼすか、親はしっかり把握すべきだと思います。栄養のバランスはとても大切です。

○不必要なダイエットの弊害
日本くらいダイエットに熱中する国はないのではないでしょうか。テレビで、コンニャクとかバナナがいいと放映されれば、市場からそれがなくなるという現象は滑稽です。

○いじめ現象
「いじめ」「登校拒否」「アレルギー体質」等は食生活に大きな原因があるようです。家庭の躾や学校教育も大切ですが、それと併用して食生活を見直す必要があるようですね。

○噛むことと味覚の欠如
よく噛んで食べることが少なくなりましたね。さらに親が子供に美味しい物しか与えないようになったので、「苦い」とか「渋い」とかという味覚が失われてきているようです。

○食べ残し
世界一飽食の国である日本の食料自給率は約40%で、先進諸国で最下位です。しかし食品の残食率(食品廃棄物)は世界一です。飢えで苦しんでいる国の人達に申し訳ないです。

○コケコッコ―(鶏)症候群
コは孤食、ヶは主に朝食の欠食、コは個食、最後のコは固食です。家族の食事の在り方を改めて考えてみたいものです。

食生活がこのように悪化してきた大きな要因は、家庭で、親が、子供に、食事の大切さを教えられなくなったこと、学校教育が偏差値重視になっていること、国の農業政策、食品(飲み物含む)製造メーカーの過激な宣伝等が考えられますが、その弊害は非常に大きいと感じます。

前回申し上げた、「恵まれた食生活を幸せだと感じる」と共に、「人間にとって食べ物とは何か」、「何をどのように食べるのか」、全ての日本人が認識し、賢い食生活を心掛けるべきだと思います。

そして、地球上の多くの人々が、「飢えと戦っているという現実と向き合い」、「飢えを共有する」ことも、先進国としてあるべき姿ではないでしょうか。

ところで皆さんは、地球上の「飢えの原因」はご存知でしょうか?
様々な理由があるので一概にはいえませんが、戦争、内戦、環境、農作物の不作等がありますが、食料自給率が40%しかないのに、大変贅沢な食生活、いわゆる飽食に甘んじている私たち日本人の大量消費も大きな原因の一つとされています。

世界の全ての食料生産が、皆に平等に分配されれば、飢餓はなくなります。
日本人の放出する食品廃棄物だけで、地球上の大半の飢えが救われるそうです。

前回は「満足に食べられることを幸せと感じることがマナーである」と申しましたが、それに加えて、この事実をしっかり受け止め、好き嫌いなく、食べ残しをせず、病気にならない「賢い食生活」を心掛けることも、飽食の時代を生きる、私たちの究極のマナーではないでしょうか?
食に関する「意識改革」と「生活改善」が必要ですね。

「節電」を問いかける前に、「食の在り方」を考えるべきだと痛感します。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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