マナーうんちく話504≪あなたなら、どう答える?≫
ナーうんちく話70《言葉とマナー》
皆さまは人と話をするのが、好きですか?嫌いですか?得意ですか?苦手ですか?
人と話をするのが、好きな人と、嫌いで苦手な人とでは、たった一度の人生が大きく異なってきます。音楽を聞いたり、パソコンを操作したり、本を読むことは一人でも可能です。
しかし人と話をするということは、少なくとも一人以上の相手が必要です。場合によっては何十人、何百人、それ以上になる事もあります。
そして人と人とが話し合いすることにより、その話によって、互いの気持ち、考え方、愛情などを伝えあうことになります。
つまり当たり前の話ですが、話をすることにより人間関係が出来てくるわけです。
何事も「話し合い」が大切です。
しかし意外に、人と話をするのが苦手な人が多いです。
会話の苦手な人は非常に多いようですが、会話に自信ある人はごく少数のようです。
ただ会話の苦手な人が、窮屈な人生を歩んでいるかと言えば必ずしもそうではないようです。しかし世間を狭くしているのは歪めません。
では会話上手になれば良いという結論になりますが、会話上手は一種の特技だと思います。誰しもそう簡単にはなれません。まして、元々会話の好きでない人や苦手な人なら、並大抵の努力では難しいです。
誰でも簡単に会話美人になれる極意が有ればいいのですが、世の中そう甘くはないですね。
ではどうすればいいの?ということですが、結論は、「会話上手を目指すより、その人自身に関心を抱くこと」だと思います。このコラム欄で、人と良好な人間関係を築くには、先ずその人に興味を抱いて下さいと申しましたが、会話にも全く同じことが言えると思います。
私のマナーに対する基本的な考え方は、何度もお話ししていますように「形より心」です。
会話しかりです。
人と上手に話をしようと思っても、なかなか格好いい言葉は浮かんできません。
なぜなら最初に言葉があるのではなく、最初に有るのは心だからです。
ホテルで何千回もの結婚披露宴に従事し、多くの挨拶を聞いてきました。仲人、来賓、親族、友人、親、新郎新婦等など・・・。
殆どの方々は、その場に立たされると、その種の本を開き、格好いい文例を引用されます。
結婚披露宴の場合は、ビジネスにおけるプレゼンではありませんから、殆どの場合は拍手喝さいで、挨拶をされた本人は大役を果たされ、悦に入られるということになります。
目出度し!目出度し!ですね。
しかし、私はなんとなく寂しい気持ちがします。
美辞麗句を並べカッコよく挨拶されても、本に書いてあることは、その作者の言葉であって、挨拶をされている当事者の言葉ではないからです。勿論自分の言葉で真心こめてお話しされる方もいらっしゃいます。それらは結構感動的なものがありますが、少数ですね。
先ずその人をよく理解し、上手・下手は関係なく、自分自身の言葉で話していただきたいということです。
上手に話そうとしないで、本当に伝えたいことだけを欲張らずに、がポイントです。
そして相手の目線に合わせることも必要ですね。
自己紹介しかりです。
会議などで自己紹介する時に、とかく前者と同じことを言う人が多いようですが、自己紹介も、相手に合わせ、自分自身の言葉で行うものです。
そして、自己紹介をしている人の話をよく、聴くことです。目を見て、相槌を打ちながら。笑顔を添えてあげればなおいいです。このコラムでも何回も触れました。「自分の番になったらどう言えばいいのか?」、聴くふりをして一生懸命頭の中で考えるのではなく、今、自己紹介をしている人の話を一生懸命聴いてあげることです。
結論ですが、口先だけではなく、美辞麗句で体裁を保つのでもなく、「相手に関心を抱き、相手を理解し」、「自分自身の言葉で話し」、「相手の話もよく効く」、ということになれば、つまるところマナーの問題になります。
すなわち、最終的には、相手に対する思いやりです。孔子の言葉を添えておきます。
『巧言令色、鮮なし仁。(こうげんれいしょく、すくなし、じん)』
『剛毅木訥、仁に近し。(ごうきぼくとつ、じんに、ちかし)』
言葉が巧みで顔つきが良い人に、誠実な人は少ない。その逆に、自分を不必要に飾らない人は、誠実な人が多い。と言う意味です。
そして日本の諺をどうぞ・・・。
『好きこそ物の上手なれ』。
興味を持ち、好きになれば、色々と熱心に創意工夫するから上手になるという意味です。
会話が上手になる究極の秘訣は、話をすることを好きになることです。
5月にこの続きを掲載いたします。