マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
マナーうんちく話63《お世辞と称賛のマナー》
皆様は、「人を褒める」ことは得意ですか?
では、お世辞を「言うタイプ」ですか?「言わないタイプ」ですか?
私はマナーのセミナーや研修において、「アイコンタクトゲーム」とか「褒め合いゲーム」を実施しています。目的は、このコラムでも何回も触れてきましたが、相手の目を見ることの大切さと、褒めることの難しさ、惚れられた時の心地良さ等を体感して頂くためです。
急に云われて、人を即座に褒めることは、余程感性の豊かな人でないと難しいと思います。しかし褒めることはできなくても、軽いお世辞だったら言える時があります。
お世辞や賞賛をいう時のポイントは、「間髪いれず」&「相手の目を見て」です。
一方、言われた側は、へりくだるのではなく、「ありがとう」の言葉で答えます。
これで、言った方と、言われた方の、心と心の交流が生まれます。
正直なところ、「お世辞」と「称賛」の区別はとても難しいです。言う人の性格や言われる方の感じ方がそれぞれ皆異なるからです。だからお世辞と称賛が混合して使用されている多々あります。また、日本人は昔から、人を褒めたり、感謝の言葉や愛情の言葉を口に出すのが大変下手だといわれています。しかし、私の経験上、お世辞も称賛も言えないより、「言えた方」がはるかに良好な人間関係が築けると思います。ここで改めて、「お世辞」と「称賛」に触れてみます。
●お世辞
私は絶対にお世辞なんか言わないよ!お世辞を言う人は好きになれない!と言うタイプの人は多いと思います。でも、こんな時には「お世辞の一つでも言えたらいいのになー」と思われた時もあるのでは?
お世辞は、弱い立場の人が自己保身として言う時もあるし、大変有効な出世の戦術として割り切っていう人もいます。いずれもお世辞の目的は「見返り」を期待することに有ります。自分に好感を持ってもらいたい・良くしてもらいたいという下心があります。
「言う方」は見返りを期待しますが、「言われた方」は、お世辞と称賛の判断はつきませんので気分良くなります。「豚もおだてりゃ木に登る」の意味は、人は褒められたり、おだてられたりして気分良くなると、10しかない力でも、12や15の力を発揮できるということです。注意して頂きたいことは、「下心があって見返りを求める場合」は、その対象者が上司や得意先等見返りを施してくれる人へ向けられています。「一方性格によるお世辞の場合」は、あまり下心がありませんので誰にでも平等に向けられています。
●称賛
一方褒めるという行為は一切見返りを期待しません。要は素直で純粋で一方通行です。
理想的ですが、簡単に言葉で表現できる人は非常に少数です。
「人を褒めることが苦手な人」が多いということは、「褒められた経験のある人」も少ないということです。「レディーファースト」と一緒です。
称賛もレディ-ファーストも慣れていただくことが大切です。
ただ人を褒めなければいけないと常に構えていただくことは有りません。
自分が褒めるのが苦手なら、褒めている人がいる時に、それに相槌を打つだけでOKです。誠意を込めてお辞儀するだけでも結構です。それだけでも相手には通じます。
前回のコラムでも述べましたように、その人に関心を持つことから始めてください。
相手の良いところをすばやく見つけて、それを言葉で表現できれば最高ですが、それなりの訓練が必要ですし、感性も必要です。良いところばかり探し求め、美辞麗句を思い浮かべるより、心が素直に感じたことを言葉に出すだけでいいのです。
例えば、「今日は平松さんにお会いできて大変うれしかったです」「今日は本当にいいお話が聞けてラッキーでした」だけでも大変効果的です。ポイントは目を見ることと笑顔です。
そして歳を重ね、経験を積めば、自然に感性が豊かになり、褒め言葉も上手になります。立場上特に必要な方は、言葉で発する際のボキャブラリーを沢山身につけてください。
世界一「飽食の国」「美食の国」日本では、毎日料理番組があります。レポーターの人が料理の美味しさを伝えてくれますが、その時の表情はいずれも大変素敵だと思います。さすがです!でもそのボキャブラリーは貧しい限りで、お世辞にも上手とは言えない人が多いように感じます。テレビに出る人でさえボキャブラリーはこのありさまですから、普通の人は余計に難しいと思います。
ちなみに私は先輩からのアドバイスを受け、感性を高めるために「短歌」の通信教育を受け、万葉集を読みふけりました。洋服を買う時にはいつも専門店でレクチャーを受けました。元々感性の「か」の字も持ち合わせていなかったので全く駄目でしたが、それでも思わぬ効果が沢山ありました。お勧めです。
結論は、お世辞も称賛も、素直な心で発すれば、どんなえらい人でも、お金もちの人でも、先輩でも後輩でも喜ばれます。大切なことは、相手を心地よくさせ、好感を持たせる事です。これで良好な交流が図れます。
今年度の目標の一つに加えて見られたら如何でしょうか・・・。