マナーうんちく話⑭≪エレガントな立ち居振る舞い「一回一動作」≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:人間関係を良好にするマナー


マナーうんちく話⑭《エレガントな立ち居振る舞い、「一回一動作」》


例えば結婚披露宴にて、司会者から、「それでは只今から新郎新婦のご多幸を祈念してシャンパンで乾杯をしたいと思います。皆様どうぞご起立下さい。」と言われた時、
①シャンパングラスをスマートに持ち、起立するか?
②そのまま起立して、シャンパングラスを持つのか?
この両者では雲泥の差があります。

複合文化を形成しているわが国でマナーを語る時、日本で長い間脈々と継承されてきた「礼儀・作法」と、明治以降、欧米諸国から輸入されたエチケット・マナー、そしてそこから派生した「プロトコール」が必要になります。

つまり、日本独自の「礼儀・作法」と、世界を視野に入れた「プロトコール」を身につけることにより、本当の意味で洗練された、身も心も美しい人になれるのでは、と思います。
例えば、時には料亭で着物を着て凛として振る舞い、時にはフレンチレストランでドレスを着て華麗に振舞えるような人は素敵ですね。

ところで「プロトコール」は、ご承知の通り、「国際儀礼」とか「外交儀礼」という意味で、歴史・風土・国民性・文化・宗教の異なる国の人々が、何らかの形で席を共にする時のマナーです。
元々、王室、政府高官など、その国を代表する人達が公式の場で相手国の人を尊重するという精神で振舞うためのマナーだったので「ロイヤルマナー」の別名があり、テーブルマナー、席順の決め方、国旗掲揚等が具体的かつ詳細に定められております。そして国際化の進展と共に、今ではすっかり一般国民まで浸透し、私たちが身につけたいマナーの基本が多く存在します。

一方日本の「礼儀・作法」は、聖徳太子の「17条の憲法」に始まり、「有職故実」を経て、「小笠原流礼法」に代表される、世界に誇る日本独自の文化で、武家階級や戦前の女学校教育の一種のステータスでもありました。

この「小笠原流礼法」と「プロトコール」。これらの共通点は、いずれも「尊敬の心」と「思いやりの心」ですが、その表現方法はそれらの成立過程における社会背景、宗教、風土等によりかなり異なります。全く逆のケースさえあります。当然その場に応じた適切な判断基準を身につけることが大切になります。

そうかといえば、「小笠原流礼法」と「プロトコール」は、「心」も「形」も全く共通したポイントも存在します。
「正しい姿勢」と「一回一動作」もしかりです。

《一回に一動作》・・・これこそ紳士淑女の華麗なる立ち居振る舞いの基本です。
ポイントは「・・・ながら動作」をしないということです。

歩きながら携帯電話を使用しない。運転しながら電話をしない。食事をしながら新聞を読まない。煙草を吸いながら作業をしない等などです。

さらに詳しく説明すると、一回一動作とは、「今、ここに集中する」「今、している行為に心を込める」、そして、それを「美しく表現する」ということです。

このようにすると、している人は落ち着き、其れを見ている人は安心します。相手を安心させ、相手から信頼を得るということはすなわち、相手に対する最高の思いやりです。

心の、落ち着き・静けさ・ゆったりした雰囲気などは「エレガンス」のポイントでもあり、好感のもてるコミュニケーションの基本でもあり、立ち居振る舞いの基本でもあります。

自己紹介する時の模範例です。
①起立します。
②名前を名乗り、伝えたいことを述べます。
③お辞儀をします。

冒頭の乾杯の時の優雅な振る舞いです。
①先ずゆったりと起立します。
②シャンパングラスを手に取ります。
③自分の胸の高さに持ちます。
④「乾杯!」の発生の音頭と共に、新郎新婦に視線を合わせ、グラスを目の高さまで上げ、そのまま笑顔で互いの目を合わす。・・・以上です。

「何時も美しい姿勢でいる」ことと、「一回に一動作しかしない」という二つの基本をぜひ身につけられることをお勧めします。
どんな時も自信を持って優雅に振舞うことができ、あなたの魅力が倍増します。


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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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