マナーうんちく話6≪遠慮とマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:人間関係を良好にするマナー


平松幹夫のマナーうんちく話⑥《遠慮とマナー》


①他家を訪問して「お茶でもいかが?」と言われました。
あなたはどのように答えますか?

②他家を訪問してお茶とお菓子が出されました。
あなたはどうしますか?

③他家を訪問して和室に通され「膝を崩してお楽にして下さい」と言われました。
あなたはどうしますか?

日本には前回のコラムで触れました「奥ゆかしい」という文化が存在します。それと共に他者を気遣う「察しの文化」、体裁を気にする「恥の文化」、気持ちだけで結構ですという「遠慮の文化」が今も残っております。
これらは日本独特の文化で美徳とされてきましたが、反面世界には通用しない文化でもあります。マナーと同様TPOに応じて正しい判断基準を身につけることが必要だと思います。

今回は日常生活においてなにかと気になる「遠慮」について触れてみたいと思います。

本当はそうしたいのに、言えない、言わない。
お茶が欲しいのに素直に欲しいと、言えない、言わない。
しびれが気になり、膝を崩しリラックスしたいのに、無理して我慢している。
こんな経験ありませんか?

以前このコラム欄で、マナーとは「他者に不快感を与えず、好感を与えること」と説明しましたが、その視点からいくと、{相手が折角すすめてくれたのにそれに素直に従わなかったら相手は不快になります}。また{相手がすすめてくれたことに素直に甘えたら相手は気持ち良くなります}。この「気持ち良くさせる」のが非常に大切なことです。

すなわちマナーは不必要に遠慮することではなく、遠慮しないで相手の気持ちを素直に受け入れることが大切です。それでは①②③の模範例を解説していきます。

①のケース。
本当に飲み物が飲めない状態だったらその理由をきちんと説明して丁寧にお断りします。頭ごなしに「お構いなく」は感心しません。
自分が頂きたいと思ったら「ありがとうございます。喜んでいただきます」と答えていただければ嬉しいですね。「何にしましょう」と聞かれたら「日本茶」とか「紅茶」とか好きなものをリクエストして下さい。聴く側は、「日本茶・紅茶・コーヒー」何がお好みですかと、具体的に聞いてあげたらなおいいですね。

ここで飲み物をいただくということは、単に喉を潤すばかりでなく、飲み物を出して下さった「温かい気持ち」を飲むことだと理解して下さい。

②のケース
先ず、食べて、飲んで下さい。
ただしその前に「ありがとうございます。頂きます」の言葉は必ず発して下さいね。
茶・菓が出されたら、流派により多少異なりますが、先に菓子を食べてお茶を飲みます。
なかなか緊張してすぐには口がつけれそうないですが、暖かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちにいただきたいものです。

ちょっと上級になりますが、お茶を出されたら器を見ることも大切です。
コーヒーにしてもしかりです。どんなカップでコーヒーを飲ましていただいたのか?
ブランドにこだわるということではありません。大事にされている器で美味しく味わさせていただいたという気持ちが大切です。
どのように美味しかったか、ここまで言えたらご立派です。
経験を積んで、日頃からいいものに触れることも大切ですね。

③のケース
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」とお礼を述べて、正座を崩します。但し時と場合、また相手にもよりけりですが・・・

日本人と畳の文化は切っても切れないものがあります。
また着物姿で凛々しく畳に正座している日本人女性の姿は、世界一美しいといわれたそうです。30分位は正座ができるようなりたいものです。


以上①②③の遠慮は比較的微笑ましいですが、患者が医師に対してする遠慮、恋愛中なのに「結婚」の話が相手に遠慮して言えない。このようなケースは少し深刻になります。

また「三辞三譲」という日本独特の文化があります。
どんな地位の高い人でも、お金持ちの人でも、進められたいったんは遠慮するというものです。但し三回進められて三回とも遠慮したら駄目だとも戒めています。

要は進められて即座に応じることは控えるべきだということです。
ポイントは「洋」の場合は進められたら即座に、「和」の場合は進められたらいったん遠慮することがお勧めですね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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