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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

心理系大学院に行ってどんな心理職につけますか?

2022年11月28日

テーマ:確実に心理系大学院に合格する勉強方法

コラムカテゴリ:スクール・習い事

昨日いただいた質問です。
いわゆる心理系大学院に行って、臨床心理士や公認心理師の資格を得るというところまでは、最近はかなり情報が浸透してきているようです。そのため、当塾に相談に来られる方も、すでに資格や受験に関しては結構詳しい方が多く、むしろ関心事は就職に関することが多いという印象です。この傾向は少し前から明確になっていましたので、私たちとしては心理職大全を出版して、実際の仕事について、色々と紹介しました。それでも心理職の職域はとても幅が広いのが特徴で、良く言えば、何でもできる、悪く言えば、どっちつかずになる、という面を持ち合わせています。
臨床心理士資格認定協会
教育分野
発達、学業、生活面などでの問題に対して心理的援助を行います。本人との面接のほか、親との面接、教師へのコンサルテーションなどを実施し、必要に応じて他機関との橋渡し役も務めます。
[学校内の相談室/教育センター/各種教育相談機関など]

医療・保健分野
心の問題で不適応に陥っている人、病気やけがなどをしている人への心理的援助が中心です。心理テスト、心理療法のほかに、デイケアやコンサルテーションなどの活動も行います。また市町村の保健センターでは、小児科医や保健師とともに乳幼児の健康診査・発達相談などにもかかわります。
[病院・診療所(精神科、心療内科、小児科他)/保健所/精神保健福祉センター/リハビリテーションセンター/市町村の保健センターなど]

福祉分野
子どもの心身の発達、非行、障害児・者、女性問題、高齢者の問題など、福祉に関する幅広い領域に対し、心理的側面から援助します。
[児童相談所/療育施設/心身障害者福祉センター/障害者作業所/女性相談センター/老人福祉施設など]

司法・矯正分野
社会的処遇を決定する際の心理的側面に関するテストや調査、矯正に向けての心理面接などを行います。
[家庭裁判所/少年鑑別所/刑務所/拘置所/少年院/保護観察所/児童自立支援施設/警察関係等のさまざまな専門的相談業務など]

労働・産業分野
職業生活の遂行のために、面接や職場内へのコンサルテーションなど、就業の相談では、職業への適性をめぐる問題等の心理的援助を行います。
[企業内相談室/企業内健康管理センター/安全保健センター/公立職業安定所(ハローワーク)/障害者職業センターなど]

以上のように紹介しています。同様のことは日本臨床心理士会も示しており、職域の広さこそが専門性だということなのでしょう。私たち仏教学の学徒は、いかにニッチになるかが重要ですので、大きな差があるなぁといつも感じます。

だからこそ、これから心理職を考える方が、いつの段階でつきたい仕事を選べばいいのか、というのは難しい問題になります。これは個人的な印象になりますが、私としては、大学院に入ってからいろいろ経験してから選んでいくのが妥当だと考えています。自分が心理の仕事をするにあたって、どの分野に適性があるのか、を考えるのは、大学院で先生、先輩、同級生、後輩、クライエント、実習先の人々などと出会って、いろいろな影響を受けて、そこから考えるのがいいのではないかと思っています。
あくまで個人的見解です。
しかし、一方で、やはり最初から医療に行きたいという人もいますし、子どもの発達に関わりたいという人もいます。EAPに興味があるという人もいますし、職域ではなく、ユング心理学を勉強したいという人もいますし、認知行動療法をはじめ、セラピーを勉強したいという人もいます。また職域でもセラピーでもなく、研究がしたいという人もいます。やはりこの職域の広さが、多様な目標を持った人を引きつけるのだと思います。
仏教学で、これほどいろいろな分野を目指す人がいるとはちょっと考えにくいです。私としてはいつもこの違いを面白いなぁと思って見ています。

どんな心理職につけますか?と聞かれて、つい認定協会が示すような回答をしがちなのですが、もう少し回答をする際に工夫が必要で、どの大学院に進むか、またどの先生に習うか、あるいはどこに実習に行くかによって、選べる職域が変わってきます。どの大学院に行けば就職に強いのか、という問いではなく、どこの誰に何を習い、自分がそこで何を身につけて、何を見て、感じて、総合的に選ぶのが妥当ということになります。
そのためにも、大学院選びがまず入り口になります。極端な言い方をすれば、学部は公認心理師の単位が取れるならば、必ずしもそこで人生が決まるわけではありません。大学院でいくらでも修正ができますし、むしろより専門性の高い教育を受けるのは大学院ですから、人生の趨勢は大学院でかなり決まると言えると思います。いつも言っていますが、まずはどの学校を選ぶのかが、とても重要な入り口になります。


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