臨床心理士指定大学院や公認心理師養成大学院の難易度は変わりましたか?

井上博文

井上博文

テーマ:後悔しない臨床心理士指定大学院の選び方

当塾ではすでに現次年度に向けて新しい生徒さんを迎えつつ、対策に動いています。最近はオンラインでの入塾説明会に全国から参加していただいていますが、よく質問を受けるのは、「第5回公認心理師が終わったことによって、臨床心理士指定大学院の難易度は変わりましたか?」というものです。やはり受験生からすると、そのあたりは気になりますし、実際、ほとんどそのような情報は出回っていないと思います。結論からいえば、受験生の減少はなく、横ばいか、少しないしは大幅に増えた学校がほとんどです。そのため、難易度は上がったと見るのが妥当です。今、多くの大学を訪問させてもらっていますが、事務方も先生方もたいていは学生の学力低下を憂いておられます。そのため、学力向上に関するご依頼をよくいただきます。このコラムでも触れましたが、今のところ、Bルートは機能していないと見るべきですから、これからはほとんどがAルートの最初の受験者ということになります。この方々の受験は今後の臨床心理士指定大学院の動向を見る上でとても重要な情報になります。全国に数万いる心理学系の学部生から2000人弱の大学院生が生まれるわけですから、そもそもかなりの精鋭です。また、これより先、臨床心理士指定大学院が増えることはあまりないでしょうし、増えたとしても公認心理師も取れる状態になります。言い方を変えると、すでに学部では新カリキュラムが適用された教育が行われており、心理学の学部教育の多くは、公認心理師の受験資格が得られるか否かの選択になりつつあります。つまり学部教育の段階で、臨床心理士になるというよりは公認心理師になることを教育されて育つことになるのです。その人たちが大学院で「臨床心理士も取る」という風に変化しつつあるということです。ここまでは「公認心理師も取れる」だったわけですから、これはとても大きな変化です。こうなると、臨床心理士指定大学院の難易度は大きく変化していくと見るべきでしょう。すでに学部での公認心理師指定カリキュラムを持たない国立教育大学大学院の中では推薦制度を設けて、他校で学部教育を受けた人を受け入れる体制を作りつつあります。これが定着すると、Aルートの在り方も変化します。大きな転換期を迎えたと見るべきでしょう。
これを踏まえて学校ごとの難易度が気になるところですが、10年ほど前に臨床心理士指定大学院の難易度のコラムを書きました。
国立編
私学編

しかし、今となっては京都教育大学は指定大学院ではありませんし、学部教育を前提とする方向にシフトしましたので、難易度のようなものがあるとすればかなり変わってきています。
それでも関西圏で言えば、入学が難しいという意味では、京大、阪大、神大は難しいのだと思います。やはり大学側の要求が高いと言えますし、基本的にこれらの大学は研究者養成です。現在は臨床心理士だけを意識した入試ではなくなっており、公認心理師のことを考えた受験が前提になります。公認心理師だけに目を向けると研究は必須にはなっていませんので、あまり重視されていないと思われがちですが、現時点では大学院は、臨床心理士指定大学院に学部で単位をとった人は、公認心理師(も)取れる、というスタンスが基本です。別にどこの大学もそうしたいわけではありませんが、今の制度上そうならざるを得ないということです。
関西圏で現段階で京阪神以外難易度の高いところは、まずは受験者がたくさん来るところということになります。元々多いところは兵庫教育大学、鳴門教育大学、京都文教大学、立命館大学は多くの受験生が来るため、難易度は高いと言えます。ただし、今季京都文教大学は、60名程度の受験者で30名以上合格者を出しましたので、倍率はそこまで高くはありません。追手門学院は倍率は5倍くらいです。また、今年は、増加傾向の学校もあります。龍谷大学は新しい心理学部ができるせいか、3倍くらいの倍率と推定されます。帝塚山大学も3倍程度です。
全体として、少し難易度は上がっています。以前にもお伝えしましたが、これから大学院受験事情が大きく変わります。臨床心理士指定大学院を受験する人は、大きくわけて二つのカテゴリ-になります。一つは、学部で単位をとった将来のAルートの人、もう一つは、学部で心理学の単位がなく、公認心理師は取れないものの、臨床心理士のみを目指す、主に社会人の方です。今のところ、公認心理師が取れないことが、不利になるという言説はありません。臨床心理士指定大学院受験なのだから当然かもしれません。しかし、学部でしっかり教育を受けて来て、大学院を目指すことを4年間意識してきた世代は、かなりの力量を持った人も生み出していると思われます。そのため、学校によっては合格点が上がっているところがあると聞いています。

トータルで見ると、やはり今年から臨床心理士指定大学院は難易度はかなり上がったと見るべきだと考えています。


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