公認心理師や臨床心理士養成大学院の受験でなぜ英語が必要なのですか?

井上博文

井上博文

テーマ:英語力を高める勉強方法

この質問は、ここ数年減っていたのですが、昨年、今年とまた増えてきました。公認心理師、臨床心理士養成大学院の難易度が上がっていることが要因だと考えられます。とりあえず一つ回答すれば、臨床心理学は英語で広がっていった学問であることが大きな理由だと思われます。ちなみに近代仏教学も英語で生まれましたので、同じように仏教学を学ぶには英語の運用能力が必要です。

これまでの先生方との話の中でも、英語の重要性を説く先生は多かったと思います。というより、学生は、「大学院に入っても英語なんていりませんよね。なのになぜテストで英語があるのですか?」と質問をするくらいに、英語を重視できていない人が多いわけですが、大学の先生方でそれを言う人は、今のところ出会っていません。つまり、大学の先生は、やはり英語を重視していると見て間違いないでしょう。私自身も、大学で教えていますが、やはり、英語の運用能力はいろいろな意味でとても重要だと考えています。理由は様々ありますが、やはり英語が世界共通言語であることが一番大きいでしょう。日本以外の国では、英語運用能力は、生活として当然のことだと考えています。日本人が特別視しすぎているのかもしれません。
また文法がシンプルかつ正確で、曖昧な部分が少ないため、どこの国の人が学んでも大きな違いが生まれにくいこともあります。だから、文法をしっかり覚えておけば、かりにその瞬間わからなくても、あとから辿ることで、わかることもありますし、理解の速度も「自分なり」を作ることができます。

臨床心理士指定大学院に限らず、日本の大学院入試において英語はほぼ必須です。学校によっては「とにかく英語さえできれば合格するからね」と明確に言うところもあります。比較的国公立大学の方がその傾向は強いように思います。文法的安定度が高い割には、構造が複雑ではなく、文法さえ覚えれば、一応の形はどこの国の人間でも使えるという便利さがあります。英語は印欧語族に属しますが、その祖型にあたるインドのサンスクリットという古語は、文法的完成度は非常に高いのですが、あまりにも組織が複雑すぎて、誰でも使える代物ではありません。かなりハイスペックな教養人でもなければ使いこなせないでしょう。サンスクリットは、インドに侵入したアーリア人がその祖型を持ち込んで確立した言語ですが、アーリア人は西側にも拡散し、イランの語源にもなったといわれますから、イラン人の言語もサンスクリットや英語の親戚になります。そうすると、英語は語族的にも多くの国や民族にとって覚えやすい言語ということになります。この普遍性が英語が入試において重要視される理由の一つになります。学問を修得するために、母語以外の言語の習得は、明治時代から必要とされてきました。実際、当時の多くの学者は、多言語を習得していました。

一方で、現代の受験に英語がついてまわる理由は、英語が現在の世界標準だからという点が大きいのですが、その意味で、論文をはじめとして、近年は英語で発表することが非常に多くなっています。どんな学問分野の人でも、暗黙のうちに英語で情報のやり取りができて当たり前という時代になっています。最低限度として、英語論文から最新情報が引っ張って来れないと、研究業界ではすぐに時代に取り残されてしまう時代です。また、英語の勉強というのは、意外に一人でするのは難しく、常に英語に触れていないとすぐに退化してしまいます。だから英語のテストをすると、付け焼き刃の勉強ではなく、日常的に高い意識を持って勉強に取り組んでいるかを測るには、非常に良い尺度ということになります。日本語で書く専門科目については、暗記をしていなくてもその学科に入ってから、本が読めれば問題はありません。しかし、英語ができないと、
不都合がたくさん生じる上に大学院に入ってからでは鍛えにくいということです。本当は大学院でもっと英語を鍛えて欲しいのですが、なかなか難しいのが実状のようです。ですから、早く、継続的に英語に取り組み、慣れていると言えるくらいになっておくのが良いでしょう。


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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

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