ブループリント新出「エイジング・パラドックス」

井上博文

井上博文

テーマ:公認心理師試験重要キーワード

今回のブループリント新出ワードで高齢者や認知症関係のものが多いことは何度も言いましたが、この「エイジング・パラドックス」も同様です。
当塾の「プレ模試」でこれが出題されています。

A: エイジングパラドクスとは、高齢になるとウェルビーイングが低下することである。 
B: 社会情動的選択性理論は、動機づけに基づいてエイジングパラドクスを説明している。

これは選択肢ですが、問題では正しいものを一つ選べとなっていますので、一つの問題の選択肢に同じワードが並ぶとどちらかが間違っている可能性が高まります。プレ模試なので、ちょっと難易度を下げたのかもしれません。

解説を見ると、Aは誤りで、解説は
「加齢ととともに身体や認知機能が低下、社会関係が縮小するにもかかわらず、満足度などのウェルビーイングが比較的安定していることをエイジングパラドクスと呼ぶ」

Bが正しくなります。
「人は誰でも高齢期になると、身体機能の衰えや健康状態の悪化、配偶者や友人などの人間関係や社会的役割の喪失などの喪失体験が生じる。しかし、このような経験の中で高齢者が幸福を感じていないかと言えばそうではない。このような現象をエイジングパラドクスと呼ぶ。このエイジングパラドクスを将来の時間的見通しによる動機づけの変化という視点から説明する理論として社会情動的選択性理論がある。高齢者は残された時間が限られていると認識する結果、感情的に価値のある行動をするように動機づけられる。高齢者が上述のような経験をしながらもポジティブな人生を歩むことが出来るのは、感情的な満足を重視し、それらを得るために時間とエネルギーを投資するからであるという考え方である」

エイジング・パラドックスと言えば、まずこの先生が思い浮かびます。新しいキーワードになったからには、この先生の論文は、是非読んでおきたいところです。

また、似たような理論に老年的超越というものがあります。
私は以前、この老年的超越で塾生の研究計画作成に携わったことがあります。最近、このような論文もあります。

「心理学的には、活動機能が低下しても心理的適応は高い人が存在することがわかっているが、このような状態を「老年的超越」として分析している。(増井ら,2010)
老年的超越の状態には「ひとりでいることの良い面を認識する」「過去の自分の役割や立場へのこだわりを捨てる」「自分の現状をあるがままに受け入れる」など、現状をネガティヴにではなく、逆にポジティヴにとらえ、また動じない状況にあることが示された」

とされています。併せて見ておきましょう。

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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

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