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井上博文

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井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

公認心理師試験過去問を見る際は日本語をしっかり分析しましょう②

2021年3月7日

テーマ:公認心理師試験対策

コラムカテゴリ:スクール・習い事

前回の続きになります。経過措置の残り2回の公認心理師試験で合格ラインの6割を取ることは、心理学を専門的に学んでいない人にとっては容易ではありません。多少運も必要ですが、運だけではもちろん届きません。公認心理師法や関係行政論などの法律系は、勉強をすれば点数に反映しますので、確実に勉強しておきたいところですが、それだけでも届きません。事例問題で稼ぎたいところですが、事例は複合的知識が必要な上に、問題文は事例だけど、「テストバッテリー」を出されるとお手上げになる可能性が高く、マイナス方面の破壊力を受けることになりますので、事例はリスキーな面があります。となると、意外と安定的に点数につながるのは、日本語力です。これは臨床心理士資格試験ではあまり通用せず、Gルートの方々の公認心理師試験対策として必要ということです。ということで、今回も日本語力で見る問題をいくつかあげてみます。
前回の繰り返しになりますが、まず公認心理師試験の全体の問題として、事例以外の問題は、まず選択肢の日本語をしっかり読まねばならない問題と、選択肢が人命など固有名を含む単語になっている場合とがあります。後者の場合は、知っていればわかりますが、知らないものはどうにもなりませんから、脳とよく相談をして、ハードディスクに入っているか、いないかをチェックして、いないと認定すると(この間時間的余裕は2秒から3秒)、そこで運試しでチェックしてしまうか、保留にして、あとでまとめて運試しにするかを決めましょう。確率は同じようなものでしょう。私の場合は、めんどくさい(ごめんなさい)ので、その場で運試し方式でいきました。どうしようもない問題に時間をかけるより、どうにかしようのある問題に余分に時間をかけることを選んだと言えば、かっこいいふりができます。


第3回公認心理師試験の問3
自殺予防や自殺のリスク評価について、正しいものを1つ選べ。
①文化的・宗教的な信条は、自殺のリスクに関連しない。
②自殺念慮に具体的な計画があると、自殺のリスクが高い。
③家族や身近な人に自殺者がいても、自殺のリスクが高いとは言えない。
④自殺予防のための情報提供などの普及啓発は、自殺の二次予防として重要である。
⑤自殺手段や自殺が生じた場所について繰り返し詳しく報道することは、自殺予防になる。

正答は②です。
この問題はあきらかに選択肢を読まねばならないので、日本語力発動問題です。もちろん、心理学力が発動できるならそれにこしたことはありませんが、この場合は心理学の知識というわけでもありません。まず問題文を見ると、自殺予防と自殺リスク評価という言葉が出てきますが、自殺関連はブループリントに複数出てきます。基本的には「心の健康」か「公認心理師の職責」関連ですが、本番で「そういえばブループリントにあったな」と思い出せる人は、ほとんど不合格の心配はせずに勉強していきたいところです。多分本番ではそんな余裕はないと思いますが、もし思い出せたら、ブループリントも思い出しましょう。その上で選択肢の日本語をしっかり読みます。

①文化的・宗教的な信条は、自殺のリスクに関連しない。
よく言われることですが、「~ない」は正答になりにくいものです。その名前を出すだけで口が曲がりそうですが、前総理大臣がウソをつきすぎて追い込まれると、よく口走ったのが「悪魔の証明」です。宇宙人がいないことを証明するのは不可能というやつです。①はこれに相当します。あらゆる文化や宗教が、自殺のリスクに関連しないことを証明するのは無理です。
③家族や身近な人に自殺者がいても、自殺のリスクが高いとは言えない。
「なんでやねん」とツッコみたいところですが、本質的には①と同じです。自殺者リスクのある人の家族のすべてに自殺者がいなかったならば、言い得ることかもしれませんが、それを調査しきるのは不可能です。
④自殺予防のための情報提供などの普及啓発は、自殺の二次予防として重要である。
これは日本語力ではなく二次予防の知識です。一般に事前予防が一次予防です。これは啓蒙活動なども含み、社会全体で自殺を予防するために環境整備をして、大雑把に言えば、自殺はいけないことだという空気を作ることです。二次予防は危機対応です。事後対応を三次予防と言います。とすると④は一次予防の記述です。
⑤自殺手段や自殺が生じた場所について繰り返し詳しく報道することは、自殺予防になる。
これは知識か日本語力か微妙なところで、両方含む常識力とも言っていいものかもしれません。私はそもそも既存メディアはこの世から消滅すべきと思っていますから、メディアの報道自体が自殺の予防になるなどあり得ないことはよく知っています。まして鬼滅の刃のアニメでも「不謹慎」と言う人がいるくらいですから、⑤のような報道が繰り返し詳しく報道されたら、どんな反応になるかを想像してみるとわかると思います。
もうしばらく、日本語力問題を紹介していきます。



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