暴力に教養で応える
「勝負の○週間」とは、この国が誇る異様極まりない政治禍が言った言葉です。どんなルールに基づいて、何と勝負するのか、誰が勝ち負けを判定するのか、全く設定されていませんでした。一般にプロスポーツは勝負の世界であることが多いですが、指導者はその分野のルールに基づいて常に結果を求められ、負けると「責任」をとって「辞める」のが普通です。そのような緊張感があるから、通常、勝負の世界は見る人の感動を呼びます。しかし、勝負師は誰でもがなれるわけではありません。また、必ずしも全員が勝負の世界に生きる必要はありません。箱根駅伝が無事開催されましたが、1区はスローペースで始まりました。実力者が多いと、皆が抑え気味に入るという現象と見えましたが、想定外の人も多かったでしょう。2区ではまたものすごい区間新が出ました。想像を超えることが起こり、この後も何が起こるかわかりません。こういったことは「勝負の綾」です。この綾という言葉はとても意味が深く、糸へんですから、織物からみだということがわかりますが、ななめに交差させて、複雑な文様が出ていることを指します。仏教の縁起にも関わるものです。織物は糸一本でできるわけではなく、文字通り色々と絡み合わせることで、一つのものになります。勝負もまさにそうで、様々な条件、数え切れないほどの原因と結果が織物のように絡み合って、一つの物語になります。スポーツの勝負は物語を作る人が多いので、より人々の感動を呼びやすくなります。
翻って、この国の異様極まりない政治禍が言った勝負は、綾はどこにもありません。何のプランもなく、何の責任もなく、終わりもない、結果も、成果物もない、単なるイラショナルビリーフです。人々に不健康でネガティブな感情を生む以外の効果はありません。
綾を彩る人々は、想像力に長けた人々です。箱根駅伝の監督方は、自分たちのチームの力を情報として把握し、選手を選び、区間配置し、優勝を狙うチームもあれば、シード権を狙うチームもあります。より綿密なゲームプランを持っている(たてられる)チームが強いのは言うまでもありません。私たち野次馬も、今年は1万メートルで27分台が何人出ているとか、いろいろな情報を見て、どこが勝つか、予想します。しかし、勝負の綾は、そんな簡単ではなく、たいていの場合、予想を裏切ってくれます。それがまた面白く、感動を呼びます。どんなチームを作るかも、監督の色がとても出ます。青山学院の監督は名監督と言われ、今や駅伝監督にとどまらず、チームマネジメントの教科書のような人になっています。必ず優勝を狙えるチームを作ってきます。かつての名選手が監督になっているケースもあれば、実業団の監督が大学の監督になるケースもあります。また高校駅伝で名をなした人が監督をしていることもあります。
こういった指導者が織りなすドラマもたくさんあります。
引き合いに出すのも気が引けますし、勝負師たちに失礼ですが、この国の異様極まりない政治禍は指導者と言える要素は皆無です。この国の不幸とも言えるでしょう。指導者としての能力も想像力も欠如した人が、思いつきで口走った綾のない勝負は誰の心にも残りません。勝負をしたと思った人もほとんどいないでしょうし、勝ったか負けたかもわかる人はいないでしょう。最初から勝負などなかったのです。次は正念場だそうですが、結局、誰も責任をとりませんので、これも誰の心にも響かないでしょう。この国にまともな政治家が出るとすれば、綾をプラン通りに作り出す能力の持ち主であり、失敗すると責任を痛感するのではなく、職を辞して、次に託せる決然とした人が、奇跡的に現れた時でしょう。
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