公認心理師試験 ブループリントで追加された項目
第2回公認心理師試験
問33ストレスチェック制度について、正しいものを1つ選べ。
①事業者は、ストレスチェックの実施者を兼ねることができる。
②事業者は、面接指導の結果を記録しておかなければならない。
③事業者は、労働者の同意がなくても、その検査の結果を把握することができる。
④医師による面接指導を実施するにあたり、情報通信機器を用いて行うことは認められていない。
⑤事業者は、一定程度以上の心理的な負担が認められる全ての労働者に対し医師による面接指導を行わなければならない。
正答は②です。
ストレスチェック制度は、労働安全衛生法が2014年に改正されたことを受けて、特にメンタルヘルス不調の未然防止の段階である一次予防を強化するためのものです。労働者が50人以上いる事業所で、2015年12月から毎年1回、ストレスに関する質問票(選択回答)を全ての労働者(契約期間が1年未満の労働者や労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外で努力義務)に対して実施することが義務付けられました。
仕事のストレス要因、心身のストレス反応、周囲のサポートの三領域が含まれるストレスチェックを受けて、医師等の面接指導を希望する労働者に対しては、面接指導を行わなければなりません。この場合、会社は当該理由によって労働者に不利益な取り扱いをしてはならず、また面接指導の結果等の記録を残しておかねばなりません。
ストレスチェックの実施者は、(ここが大事だと思うのですが)医師、保健師、一定の研修を修了した看護師、あるいは精神保健福祉士が行います。公認心理師試験が始まった時は、公認心理師は含まれていませんでしたが、平成30年に歯科医師とともに加えられました。
・産業医:医師国家資格保持者で厚生労働大臣が定める産業医研修の修了者など
・保健師:看護師国家資格を取得したうえで、所定の保健師養成課程を修了し、保健師国家資格試験に合格した者
・看護師:看護師国家試験に合格した者
・精神保健福祉士:精神保健福祉士国家試験に合格した者。精神科病院そのほかの医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練そのほかの援助を行う。
このように規定があります。
メンタルヘルスという言葉が出てきて久しいですが、関係行政論には産業、労働分野に関する法があります。ブループリントでは
労働基準法、
労働安全衛生法、
労働契約法
障害者の雇用の促進等に関する法律< 障害者雇用促進法>
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律<男女雇用機会均等法>
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律< 労働者派遣法>
労働者の心の健康の保持増進のための指針
心理的負担による精神障害の認定基準
ストレスチェック制度
以上がキーワードになっています。これだけかどうかはわかりませんが、これだけ覚えるだけでも容易ではありません。
労働基準法は現任者講習のテキストにもありますが、労働三法の一つです。労働三法とは、労働者の権利を具体的に定めた法律であり、労働基準法(1947)、労働組合法(1949)、労働関係調整法(1946)の3つを指します。労働基準法は「労働条件」の基本を定める法律で、総則、労働契約、賃金、労働時間、休憩、休日、および年次有給休暇、安全及び衛生、年少者、妊産婦等、技能者の養成、災害補償、就業規則、監督機関、罰則などの章からなっています。今話題の時間外、休日労働は労働基準法では禁じられていますが、労使協定を結び、行政に届けた場合は、時間外、休日労働をさせることができ、時間外労働協定と言います。監督行政機関は、厚労省の「労働基準局」都道府県の労働基準局と、労働基準監督署が設けられ、労働基準監督官が置かれています。
この法律では、1週間に40時間を超える労働、1日に8時間を超える労働をさせてはならないとしています。私も社労務士の先生に来てもらって、いろいろ教えてもらいました。
労働三法は、労働基準法と、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進し、労働者の地位の向上を図ることを目的とした法律である労働組合法、もう一つが、労使関係の公正な調整を図り、労働争議を予防解決するために制定された法律である労働関係調整法です。他にもいわゆる労働法は定められていますが、重要なものが、労働安全衛生法です。これもブループリントの産業・労働分野に関する法律、制度の中の小項目のキーワードに記されています。
労働安全衛生法とは、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を作り、労働災害を防止することを目的とする法律で、昭和47年に制定されました。もともとは労働基準法に安全衛生に関する規定がありましたが、その重要性から独立した法律として置かれることになりました。
労働安全衛生法で規定されていることとしては、
1.この目的を達成するために厚生労働大臣や事業者が果たすべき義務
2.機械や危険物、有害物に対する規制
3.労務災害を防止するための方策を講じなければならないこと
4.事業者は労働者の安全を確保するために安全衛生を管理する責任者を選出しなければならないこと
5.法に反した際の罰則など
労働安全衛生法は、会社に、仕事が原因となって労働者が事故にあったり、病気になったりしないように措置する義務を定めるとともに、労働者に対しては、労働災害を防止するために必要な事項を守り、会社が行う措置に協力するように定めています。例えば、会社は労働者を雇い入れる際とその後、年1回、医師による健康診断を行わなければならず、労働者はその健康診断を受ける必要があります。また最近では、仕事上のストレスによるメンタルヘルス不調も大きな問題となっており、会社は労働者に対して、ストレスチェックを行い、その結果に基づいて、作業の転換などの就業上の措置を取る必要があります。
この法律は二度改正されており、時間外労働が1か月あたり100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者について、その者の申し出により医師による面接指導を受けます。
(面接指導等)
第六十六条の八 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2 労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
このように定められています。
労働安全衛生法の第7章、健康の保持増進のための措置 (第64条-第71条)、第71条の2において
事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計 画的に講ずることにより、快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
1 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
2 労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
3 作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
4 前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置
となっております。事業者は快適な職場環境を形成するように努力をしないといけないということです(頑張ります)。
THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン1988年)
産業医・産業保健指導担当者・ヘルスケアリーダー・ヘルスケアトレーナー・心理相談担当者・産業栄養指導担当者が連携して「心身の健康づくり」を推進するものです。
心理的負荷による精神障害の認定基準
これは1992年にできた指針で、
事業所における労働者の心の健康づくりのための指針
これは2000年にできた指針で、その後2006年に、「事業所における労働者の心の健康の保持増進のための指針」がだされました。一見してわかりますが、労働者のメンタルヘルスに強い関心を抱き、心の健康にケアという概念を強調しています。セルフケア、ライン(指揮命令系統)によるケア、事業場内産業保健スタッフによるケア、事業場外資源によるケアという4つのケアの実施を述べ、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見)、三次予防(職場復帰支援等)が円滑におこなわれるようになることを述べているものです。
最後にメンタルヘルス不調により休業した労働者に対する職場復帰支援について、
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が出されており、メンタルヘルス不調により休職した人の復帰支援について詳しく記されています。何となく、私からすると、「手厚い」なあという印象さえありますが、メンタルヘルスをケアしていくことはそれだけ、職場の生産性に関わることなのだとあらためて感じました。
次に過労死もブループリントにありますが、過重労働に起因する脳・心臓疾患によって死亡あるいは重篤な障害を残す結果となる場合を言います。どうも、日本人ビジネスマンは、過労死は本望と言いきる人が少なくないように思います(人のことは言えませんが)。海外でもKaroshiなのだとか。ある意味日本人によく適合する言葉なのかもしれません。
過労死等防止対策推進法は2014年(平成26年)11月から施行されました。
厚労省による目的は次の通りです。こちら
「近年、我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていること及び過労死等が、本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることに鑑み、過労死等に関する調査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とすること」
過労死の定義は、
①業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡
②若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
もう一つ
③これらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害
これも含まれています。
これらは、法律上の定義ですのでテストに出やすいと思います。
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