公認心理師試験に向けた相談会
問22 DSM-5の心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉について、正しいものを1つ選べ。
①児童虐待との関連は認められない。
②症状が1か月以上続いている必要がある。
③診断の必須項目として抑うつ症状がある。
④眼球運動による脱感作と再処理法〈EMDR〉の治療効果はない。
⑤心的外傷の原因となる出来事は文化的背景によって異なることはない。
これは私の知識にもありましたが、②が正答です。PTSDはブループリントにも2カ所記載がありました。
問23 日本語を母語としない成人の知能検査として、最も適切なものを1つ選べ。ただし、検査内容の説明程度は日本語で理解できるものとする。
①PARS-TR
②WISC-IV
③ベンダー・ゲシュタルト検査
④ウィスコンシンカード分類検査
⑤コース立方体組み合わせテスト
こんなのが出たらちょっと私はお手上げです。ただ、これはヒントとしては、成人であること、言語に関わらないことと、知能検査であることは確定しているので、②は成人ではないので消えます。言語によらないということは作業的なものと見ることもできるので、④か⑤なのだろうなと予測はたつのですが、予測ではここまでが限界かなと思います。正確な知識がないと、すべての条件を満たすテストは正答をだしにくいと思います。とてもよく練られた問題でした。これからは、こんな問題がスタンダードになっていくのだろうと思います。正答は⑤です。
問24 2017年に文部科学省が実施した「児童生徒の問題行動。不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」における暴力行為に当てはまるものとして、適切なものを1つ選べ。
①中学生が親を殴った。
②学区内の公園で、中学生が故意に遊具を壊した。
③高校生が後輩の中学生に対し、金品を持ってくるように命令した。
④小学生がバットの素振りをしていたところ、通りかかった教師に当たった。
⑤中学校内で、同じクラスの生徒同士が殴り合いになったが、双方に怪我はなかった。
これもかなりの知識を要します。
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査にある暴力の例を読んでおかねばならないということです。想定は学校です。④はさすがに違うでしょうが、読んでなければ①や②が違うのというのはまず勘に頼らざるを得ないでしょう。ただ、「当てはまるもの」ですので、ある程度消去法が使えます。ここで「当てはまらないもの」を選ぶようにされると、正答率はさらに下がるでしょう。
⑤が正答です。
問25 1960年代のR. Rosenthalの実験で、ある検査の結果、学業成績が大きく向上すると予測される児童の氏名が教師に伝えられた。実際には、児童の氏名は無作為に選ばれていた。8か月後、選ばれた児童の学業成績が実際に向上していた。このような現象を説明する用語として、正しいものを1つ選べ。
①ハロー効果
②プラセボ効果
③ホーソン効果
④ピグマリオン効果
⑤アンダーマイニング効果
これは有名ですので、知っているかどうかの問題です。④が正答です。
ただし、他の選択肢も重要ですので当塾の過去問詳解で解説をご覧になってください。
問26 いじめの重大事態への対応について、最も適切なものを1つ選べ。
①被害児童生徒・保護者が詳細な調査を望まない場合であっても、調査を行う。
②重大事態の調査を行った場合は、調査を実施したことや調査結果を社会に公表する。
③「疑い」が生じた段階ではなく、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始する。
④児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときに限り、重大事態として対応する。
⑤保護者から、いじめという表現ではなく人間関係で心身に変調を来したという訴えがあった場合は、安易に重大事態として対応しない。
これはいじめ防止対策推進法の問題です。ただ、少しくらい知っていてもなかなか解きにくい問題です。その際は日本語力も重要です。②はまず違うでしょう。社会に公表するって誰が?となります。③は明らかに遅いです。④も③と質としては同じかと思います。①か⑤ですが、日本語的にはどっちもどっちという感じです。ただし、性質としては真逆です。やはり最後は知識でしょう。正答は①です。
問27 形成的評価について、最も適切なものを1つ選べ。
①一定の教育活動が終了した際に、その効果を把握し判断するために行う評価
②個人の学力に関する特定の側面をそれ以外の側面と比較して把握し判断するために行う評価
③過去と現在の成績を比較して、どの程度学力が形成されたかについて把握し判断するために行う評価
④指導前に、学習の前提となるレディネスが形成されているかを把握し、指導計画に活用するために行う評価
⑤指導の過程で学習の進捗状況や成果を把握し判断して、その情報をその後の指導計画に活用するために行う評価
これも知識問題です。⑤が正解です。調べると比較的簡単に見つかります。
問28 DSM-5の反社会性パーソナリティ障害の診断基準として、正しいものを1つ選べ。
①10歳以前に発症した素行症の証拠がある。
②他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、14歳以降に起こっている。
③反社会的行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中ではない。
④他人の権利を無視し侵害する広範な様式には、「自殺のそぶり、脅し」が含まれる。
⑤他人の権利を無視し侵害する広範な様式には、「衝動性、または将来の計画を立てられないこと」が含まれる。
③か⑤かで迷います。③がどこが違うかが見えにくいですが、こういうときは⑤かなくらいで、私は⑤かと考えました。解説作成チームは⑤でした。
問29 ある人物の起こした1件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が29件発生しており、さらにその背後には、事故にならなかったが危ない状況が300件あることを示した事故発生モデルは何か、正しいものを1つ選べ。
①インシデント
②危険予知モデル
③スイスチーズモデル
④スノーボールモデル
⑤ハインリッヒの法則
これは当塾の産業、組織心理学の講座にも出ていましたが、⑤が正答です。私自身もそれを見て初めて知りました。こういった分野とは関係がない人の方が多いと思うのですが、本当に幅広く出題されます。
問30 緊張病に特徴的な症状として、正しいものを1つ選べ。
①昏迷
②途絶
③観念奔逸
④情動麻痺
⑤カタプレキシー
私は緊張病なんてあるのかレベルでしたが、解説チームはしっかり触れていました。ネットでも調べれば出てきます。もちろん精神疾患とその治療の分野ですから、治療についても知っておいた方がいいのでしょう。正答は①だそうです。
問31 オピオイドの副作用として頻度が高いものを1つ選べ。
①下痢
②疼痛
③流涎
④せん妄
⑤錐体外路症状
これも私は無理でした。というより文脈で「薬なんや」レベルでした。当塾で精神疾患とその治療を担当した講師に聞くと、「あ、これは④ですね」と瞬殺でしたが、よく聞くと、副作用には便秘なんてのもあるそうで、少し知識のある人で①に引っかかる人もいたのではないかと思います。彼に聞くと、一般的な薬ですので、さほど難易度は高くないそうです。
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