第4回公認心理師試験振り返り 問23
公認心理師試験に事例問題は、より洗練された問題になっていくことが予想されますが、私たちも模擬試験で、講師陣に多くの問題を作ってもらいましたが、皆さん大変な思いをしました。まず、今のところ、事例問題を作るための明確なルールや基準がありません。そのため、制作者の主観と知識によるところが大きいので、これから回数を重ねるごとに徐々にルールや基準が定まってくるのだと思われます。ただ、間違いのないこととしては、事例問題は複合的な観点が必要であることです。一問一答ではなく、複合的観点から事例を見ないといけない点がポイントです。
北海道試験、問64 3歳の女児A。Aはネグレクトで児童相談所に保護された。Aは非嫡出子として出生した。母親はAの情緒的要求に応じることが乏しく、Aを家に放置することが多かったため、一時保護に至った。保護をして1か月が過ぎた。Aは職員とはコミュニケーションは取れるものの、怪我をするなど困ったときには助けを求めることがない。就寝時に絵本を読みきかせたところ、Aは興味を示し、楽しい場面に笑顔を見せた。Aに考えられる障害として、最も適切なものを1つ選べ。
① 広汎性発達障害
② 反応性愛着障害
③ 重度精神遅滞[知的障害]
④ 分離不安症 / 分離不安障害
⑤ 注意欠如多動症 / 注意欠如多動性障害〈AD/HD〉
この問題では嫡出、非嫡出の問題は関係ありませんが、キーワードとしては知っておく必要があります。最も重要なキーワードはネグレクトでしょう。母親が情緒的要求に応じない、女児は助けを求めない、絵本に興味を示す。笑顔も見せる。その上で障害を答えよ、という問題です。笑顔もあまり関係なさそうです。
また①から⑤のような選択肢は決めつけになる可能性を持ちますので、確実な知識が求められる問題になります。ネグレクトと②は関係します。
ICD-10では、小児期の反応性愛着障害は、素直に大人に甘えたり、頼ったりできないことが基本的特徴とされます。0歳児の頃から親に無視されたり、虐待されたりすると、言葉の遅れなどにも出ることがあるようです。
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