公認心理師試験重要キーワード「ひきこもり」

井上博文

井上博文

テーマ:公認心理師試験重要キーワード

今、世間様は、ひきこもりのニュースでもちきりです。ひきこもりとされる人と、凄惨な事件がつながってしまったからなのでしょう。私は、既存の大手メディアが放送するテレビはすべて解体すべきだと思っていますので、テレビを見るということはありません。大学生に講義をしているとよくわかりますが、今の多くの人々は、必要な情報はスマホなどネットで得ていますので、既存テレビメディアの役割はもう終焉したと思っています。テレビでさえ、情報源がネットであり、視聴者のためを思っての報道など皆無で、広告主のために垂れ流す放送など、今の時代不要以外何物でもないと心から思っています。何のために存在するのか、疑問でしかありません。総理大臣をはじめとする政治家と、それに取り込まれた大手芸能事務所の都合と大手広告会社の金儲け主義のための放送は害悪でしかないと思います。
もちろん、インターネットが素晴らしいはずもありませんが、こちらは、様々な情報が流れていますので、見る側が選択して見ればいいと思います。見る側がどう偏ろうが、それは各人の思想信条の自由と言えるでしょう。テレビは、限られたチャンネルの中、ほとんど同じような情報しかなく、「コメンテーター」と呼ばれる不可思議かつ奇妙キテレツな人々が、勉強もせず、言いたい放題言うことを「オピニオン」であるかのごとく垂れ流されています。でも、我々個人が何かを思っても、何かを言っても「どうしようもない感」におそわれて、何かを言う気概がなくなっていくのを、私自身も感じます。何か状態が良くないと「政治が悪い」「あの国が悪い」「テレビが悪い」「あいつが悪い」「○○××が悪い」とつい考えてしまい、その矛先になった側も同じように思い、さらにどうしようもない感が増していきます。ひきこもりも、もしかすると、このどうしようもない感に飲み込まれた人々なのかもしれません。私のつたない支援経験の中に、いくつかひきこもり支援があります。皆このどうしようもない感を強く感じていました。テレビにおもしろおかしく報道されてしまうこういった人々のどうしようもない感に寄り添う人が必要ではあろうと思います。それで何かが少しでも好転すれば、と地道に活動をしている人を私はたくさん知っています。テレビの存在は、こういった支援者の存在も瞬時にかき消してしまいます。本当にテレビこそどうしようもない存在です。

公認心理師は「ひきこもり」はブループリントにも記載があり、これからその支援を行っていくことが期待されています。昨年は、9月9日試験にも北海道試験にも出題されました。9月9日は、

問19 ひきこもりの支援について、正しいものを1つ選べ。
という問題でした。選択肢は以下の通り。正答は④です。これは難しい問題になっています。

① ハローワークでは、生活面での助言や障害福祉サービスの利用支援を行う。
② ひきこもり地域支援センターは、市町村が行う相談支援業務を援助する機関である。
③ 地域若者サポートステーションは、早期に医療機関へのつながりを確保する機関である。
④ 地域障害者職業センターでは、障害者手帳の所有者でなくても専門的な職業評価と職業指導が受けられる。
⑤ ひきこもりサポーターは、長期にわたるひきこもりの当事者及び家族を支援することを主な目的としている。

当塾の解説から引用すると、以下の通りです。
① 誤りである。ハローワークは、厚生労働省からの指示を受けた都道府県労働局が、地域の産業・雇用失業情勢に応じた雇用対策を展開していく上での窓口となっている。業務内容としては、職業紹介、雇用保険、雇用対策がある。(厚生労働省HP参照)
② 誤りである。ひきこもり地域支援センターは、厚生労働省のひきこもり対策推進事業の一事業として設置され、ひきこもりに特化した専門的な窓口としての機能を有するものである。都道府県、指定都市に設置され、ひきこもりの状態にある本人や家族からの相談に応じ、来所と家庭訪問を中心とした支援を通して、早期に適切な機関へつなぐことや、関係機関との連携、ひきこもりに関する普及、啓発という役割を担っている。(厚生労働省HP参照)
③ 誤りである。地域若者サポートステーションは、厚生労働省が委託した全国若者の実績やノウハウがあるNPO法人、株式会社などが実施しており、働くことに悩みを抱えた15歳~39歳までの若者に対して、就労に向けた支援を行っている。「身近に相談できる機関」として、すべての都道府県に設置している。(厚生労働省HP参照)
④ 正しい。地域障害者職業センターは、障碍者の雇用の促進等に関する法律の規定により、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置した、障害者の職業リハビリテーションの拠点となる施設であり、利用者のニーズに応じて、職業評価、職業準備訓練及び職業適応援助等の職業リハビリテーションを実施すると共に、個人の状況に応じた職業リハビリテーションの計画をする。地域障害者職業センターは、手帳が無くても利用することが可能である。(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構HP参照)
⑤ 誤りである。ひきこもりサポーターは、厚生労働省のひきこもり対策推進事業の一事業として位置づけられ、各都道府県や指定都市において養成され、ひきこもり状態にある本人や家族からの多様な相談にきめ細かく、かつ、継続的な訪問支援等を行うことを目的としている。「長期にわたる」ひきこもり当事者に限定したものではない。

次に北海道試験
問93 ひきこもり当事者への訪問支援(アウトリーチ型支援)について、最も適切なものを1つ選べ。
これは難問でした。解説は公認心理師過去問詳解 2018年12月16日試験完全解説版をご覧ください。正答率は21.5%でしので、低かったと言えます。私は③が正解だと思っていました。しかし、対等ではなく「1段下がった関係」を作るのが正解だそうです。

① 当事者に会えない場合は、長時間の家族との面談は避ける。
② 近隣への配慮のため、原則として訪問スタッフは1人とする。
③ 相談意欲が極めて低い当事者には、対等な関係づくりから始める。
④ 訪問に際しては、家族の了解があれば当事者の了解は不要である。
⑤ 家族に重大な健康問題や家族機能不全のある場合は、当事者への訪問は避ける。

ここからもわかるように、ひきこもりについては、正確な知識はあまり出回っておらず、公認心理師試験を受けた人の中でさえ、正答率が低くなっています。去年はサイコロジカルファーストエイドが出たように、その年の重要なトピックから問題が選ばれることがあるのは世の常です。そのため今年はひきこもりは当然意識しておくべきキーワードになります。



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井上博文
専門家

井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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