現任者講習#2
似たようなことは何度か言っているのですが、あらためて、公認心理師の資格取得方法について述べます。ここのところ、公認心理師試験に関するお問い合わせ、臨床心理士指定大学院受験に関するお問い合わせをたくさんいただいています。今年公認心理師試験を受験された方には、周知されていたことでも、次年度受験をお考えの方々にとっては、これから自分がどうやって公認心理師試験を受けて、資格を得るかということについてこれから思案していただく必要が生じてきます。
公認心理師のカリキュラム等検討会報告書の概要についてp.3に記される図を多くの人が参照しており、この図はかなり一般化したと思います。まずはこの図と公認心理師法をしっかり見ていただくところからがスタートになります。
AからGまでの合計7つのコースがあります。極端な言い方をすれば、このコースから外れている人は公認心理師が取れないので、何らかのリスクをはらって、どれかに合わせていく必要があるということです。
A :第7条第1号:4年制大学において省令で定める科目を履修→大学院において省令で定める科目を履修→資格試験
B:第7条第2号:4年制大学において省令で定める科目を履修→省令で定める期間の実務経験
このABは2018年4月から始まった新カリキュラム適用になります。したがって、今、大学、大学院に入学している人は、必ずしも関係はありません。今高校生の人で公認心理師に関心のある人は、意識しておきましょう。実質的にAコースが最もオーソドックスになると思います。Bコースは「実務」が定まってからということになるので、現時点ではあまり機能していません。
C:第7条第3号:第1号及び第2号と同等以上の知識及び技能を有すると認定された者
これも現時点では機能していないと見て良いでしょう。以下が、実質的に、今最も関係者が多くなります。
D:経過措置(附則第2条第1項第1号及び第2号):施行前に大学院において省令で定める科目を履修第1号及 (又は履修中):
今年の国家試験で最も受験者が多かったのはこのカテゴリの人です。推定17000人程が受験しました。現在臨床心理士の人はこれに当てはまります。科目の履修の確認と読み替えを検討しましょう。また、2018年4月までに指定大学院に入っている人も履修中ということになるので、当てはまります。ただし、科目はきっちり履修しましょう。今はD1、D2というカテゴリーもあるのでよく見ておきましょう。
こちら
E:経過措置(附則第2条第1項第3号及び第4号:施行前に、4年制大学において省令で定める科目を履修(又は履修中)→施行後に大学院において省令で定める科目を履修
このカテゴリの方は、要するに、指定大学院に入ることが決まっている人に適用されるのですが、学部で心理学系に属していることが想定されており(属していなくても理論上は可能ですが、実質的には難しいです)単位を取っている人は、大学院で新カリキュラムの科目を取れば受験資格を得られるということになります。言い換えると、今の学部4回生で心理学系に属しておらず、単位の読み替えもできない状態で、2019年4月に指定大学院に入ると、公認心理師への道が急激に狭まってしまうと現象が起こってしまいます。大学院修了後に、学部に行くことは認められていないようです。
F:施行前に、4年制大学において省令で定める科目を履修(又は履修中)→省令で定める期間の実務経験
これも現時点ではあまり機能していないと見て良いでしょう。
G:経過措置(附則第2条第2項:実務経験5年→講習の受講
今回の国試では、Dと同じく17000人程度が受験したと思われます。講習というのは、現任者講習です。
次年度の日程が出ました。
こちら
おそらく次年度もかなり多くの人が受講するようです。
2019年2月21日(木)から24日(日)まで、東京都渋谷区 ベルサール渋谷ファースト 定員1,000
2019年2月21日(木)から24日(日)まで、大阪府大阪市 サンライズビル大阪 定員500
2019年3月2日(土)から5日(火)まで、東京都文京区 ベルサール飯田橋ファースト 定員460
2019年3月11日(月)から14日(木)まで、東京都新宿区 ベルサール高田馬場 定員1,500
2019年3月14日(木)から17日(日)まで、東京都文京区 ベルサール飯田橋ファースト定員460
2019年3月25日(月)から28日(木)まで、愛知県名古屋市 TKPガーデンシティPREMIUM名駅西口 定員900
2019年3月24日(日)から27日(水)まで、大阪府大阪市 サンライズビル大阪 定員740
この講習を受けたからといって、国試が受けられるとは決まっていません。心理系以外のフィールドで活躍してきた人は、是非、現任者講習は受けてみることは重要だと思います。ここでの定員が5560です。もう一つ日本精神科病院協会主催の現任者講習もあるので1万人くらいの受講者を想定しているものと考えられます。
おそらく来年も9月あたりで実施されるであろう国家試験で受験ができる人々を対象に見た場合、AからGのルートのうち、ABCはあまり関係ありません。実質的に関係するのは、DとGだと見て良いでしょう。Dは、最も公認心理師受験に近い人と言えます。講習もなければ、審査もありません。2017の9月15日までに大学院に入っていた人(ほぼ臨床心理士指定大学院と言っていいでしょう)、とすでに修了していた人を対象としています。ただし厳密に言えば、臨床心理士でも、指定された科目の単位取得が認められなければ、受験できない可能性が高まります。そのため、「単位の読み替え」という作業が必要です。この読み替えが意外に知れ渡っていないようです。自分が取った単位を指定された科目に該当するかどうか(実質的には可能な限り読み替えてもらえるのが一般的ですが)を判定してもらう作業です。これは、個人で勝手にはできません。それぞれの大学が独自の基準で読み替えをしますので、大学の裁量にかかっています。私が知る限りでは、何とかして読み替えてくれているケースがほとんどです。ただし、学校によっては、「当時開講していなかったので」との理由で一切読み替えをしてくれないケースにも出会っています。このDの場合、もちろん、臨床心理士だけに適用されるものではありません。特に職業、資格は問われていませんから、臨床心理士の資格を取得していなくても問題はないということになります。残念ながら臨床心理士試験に不合格であっても、単位さえ認められれば、公認心理師を受験することはできます。
G
経過措置:附則第2条第2項:実務経験5年→講習の受講
大雑把に言えば、Dに当てはまらなければ、Gで受験することを狙うことになる人が最も多いと思います。今年Gで大騒ぎになったのは、「実務経験5年」でした。審査に通らなかった人も少なからずいたようです。Gルートの実務経験は一定の機関で5年以上勤務することが求められます。5年の考え方はこちらもご参照ください。この5年間公認心理師法で定められる3つの業務を行なっていることが求められます。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
以上の3つです。Gの「実務経験」とはどうもこの3つの業務を指すようで、これを証明することが求められると考えられます。特に正職員である必要はありません。このあたりの解釈が難しいところですが、かなり拡大して解釈することは可能です。特に指定された施設もありませんし、年齢制限も学歴制限もありません。場合によってはかなり若い公認心理師が誕生するかもしれません。関心のある人は、チェックしておくのが良いでしょう。ただ、個人開業の人は、いろいろ証明書がいるので手続きが煩雑ですので、早めの準備が必要になります。
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