公認心理師試験振り返り⑨社会的認知

井上博文

井上博文

テーマ:公認心理師になるには

公認心理師試験振り返りも9回目になりました。何回書くのかは決めてません・・・ただ、私個人の頭は次年度に向いていますので、次年度公認心理師試験を受験する方々に資することを考えて、書くつもりです。その中で、やはり、試験問題に出たキーワードは重要ですので、当塾の解説作成チームが作った解説や、模擬試験、講座から引用しつつ、振り返りとしています。

問13 社会的認知のバイアスについて、正しいものを1つ選べ、という問題でした。認知バイアスの知識が問われた問題ですが、個人的には恥ずかしながらハロー効果しか知りませんでした。自分に当てはまると、覚えやすいですね。

① 他者の内面を実際以上に理解していると誤解することを透明性の錯覚〈透明性錯誤〉という。

透明性の錯覚とは、自分の思考や感情等の内的状態が実際よりも他者に知覚されていると感じることである(下山晴彦(編)、誠信 心理学辞典[新版]、誠信書房、2014、p259)。
逆ですので違います。

② 集団の違いと行動傾向との間に、実際にはない関係があると捉えてしまうことを擬似相関という。
疑似相関とは、ほかの変数の影響があることによって、2つの変数間の相関係数がみかけ以上に大きくなることをいう(福島哲夫(編)、公認心理師必携テキスト、学研メディカル秀潤社、p105)。

③ 観察者が状況要因を十分に考慮せず、行為者の内的特性を重視する傾向を行為者-観察者バイアスという。

行為者—観察者バイアスとは、行為者は自分自身の行動を外的要因に帰属し、観察者は行為者の安定した内的要因に帰属する傾向のことをいう。このバイアスが生じる理由として、第一に行為者についての知識の差、第二に行為者と観察者の注目する点の違い、第三に自己-奉仕バイアスがある(山村豊、心理学[カレッジ版]、医学書院、2017、p149)。行為者-観察者バイアスが生じる理由の中に、本選択肢の「観察者が状況要因を考慮せず、」という場合も想定されるが、それはあくまで行為者-観察者バイアスが生じる説明要因の一つであるため、誤りとなる、とのことです。

④ 自分の成功については内的要因を、自分の失敗については外的要因を重視する傾向を確証バイアスという。

確証バイアスとは、ある考えや仮説を評価・検証しようとする際に、多くの情報の中からその仮説に合致する証拠を選択的に認知したり、判断において重視したりする傾向のことである(中島義明ら(編)、心理学辞典、有斐閣、1999、p112)。
以上からこれも違います。

⑤ 人物のある側面を望ましいと判断すると、他の側面も望ましいと判断する傾向を光背効果〈ハロー効果〉という。

ハロー効果とは、人物のある面について評価する時、一人の人に対する評価を一貫させようとする傾向のことである。ある人に対して基本的に良い(あるいは悪い)印象を抱いていると、すべての面で良く(あるいは悪く)評価しがちである。たとえば、美人だと性格についても好意的に評価される(齊藤勇(編)、図説心理学入門[第2版]、誠信書房、2005、p173)。ひとたびある特定の特性や関連に関する認識が形成されると、以後その認識が背景となって作用するようになり、その認識に関連した事象がそれによって一定の方向に枠組みづけをなされて認知される傾向をいう(加藤義明・中里至正(編)、基礎心理学Ⅹ 心理学基礎用語集、八千代出版、1990、p59)。

したがってこれが正解になります。私は塾長ですが、めったにありませんが、人格的に優れていると見られることがあります。見事なバイアスです。



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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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