第2回公認心理師試験振り返り⑫
最近よく受ける質問に、公認心理師国家資格試験は、臨床心理士資格試験の勉強をしていれば受かりますか?というものがあります。私個人の見解としては、それだと、合格に少し届かないように設定されるのではないかと見ています。第1回目の模擬試験では、今回の受験者の64.5%が臨床心理士でした。合格基準点とされる6割に達した人は4割台でしたので、臨床心理士の資格を持っていても、合格ラインに乗るとは限らないことを意味します。よく巷で、今年はほとんど全員通るのでしょう?と質問を受けますが、私は、「6割取れなければ落ちると思いますよ」とはっきり言うようにしています。また確率で言うならば、7月の第2回模擬試験も 前回以上の人数の方々に受験していただきますが、そこでの合格ラインに乗った割合が参考になると見ています。第1回の結果だけだと5割を切りますので、楽な試験ではないと思っています。
心理学関連の問題については、まだ公認心理師自体が存在していませんので、どう考えても臨床心理士が最も近い存在ということになります。また、大学院に進むルート、将来のAルートは詰まるところ、大半においては臨床心理士指定大学院を指します。それが最も現実的です。そのため、一見したところ、臨床心理士とほとんど変わらない資格というようにも見えます。しかし、現任者講習に出た印象も含めて考えると、強調されたのは「国家資格」であるということです。それは言い換えると、「公認心理師と臨床心理士は別資格である」ということでもあるのです。では、国家資格とは、どのように考えれば良いのかという問題が生じますが、要するに国家の言うことをしっかり聞かねばならないということです。きれいな言葉で言えば「法令遵守」です。よく看護系小論文の問題で重視されるのが、「臓器移植問題」ですが、臓器移植は法律で定まった医療ですから、関係する国家資格保有者は、臓器移植に少なくとも反対することは求められていません。「それは政治家の仕事」などと言われてしまいます。公認心理師もその意味で国家資格になります。公認心理師の場合、カテゴリーが少し曖昧になります。よく言えば、幅が広いということになります。言い換えると、どこにでも顔を出せるということになります。その分、公認心理師に求められるのは、「チーム」「連携」「協同」といったことになります。つまり、法律の知識をしっかり持った、心理職で、チーム内で連携が取れるような仕事をするというイメージができているということになります。それは臨床心理士のリファーとは少し異なると思われます。単純に医師や知っている心理士にリファーするのではなく、法律に基づいて、連携を取れる能力が求められているということになります。
もう一つ重要なキーワードが「エビデンスベース」です。エビデンスは「証拠」「根拠」と訳しますが、重要なポイントは、「ほぼ誰にでも当てはまる」ということです。通常、風邪をひくと、風邪薬を飲む人が多いと思います。眠気が来るからといって、睡眠薬のように使う人はあまりいないでしょうし、周囲でそれをしている人をみたら、不適切に感じると思います。それだけ私たちは、治験で得られたエビデンスを無意識に近い形で信用しているのです。これからは心理療法もこのエビデンスに基づいた知識で行われねばならないということになります。自分の経験、キャリア、師匠から継承した技、先人の知恵袋よりもエビデンスが優先するということになります。その意味で法律の知識とエビデンスの知識をしっかり保有する心理職の資格が公認心理師ということになり、臨床心理士とは別資格として考えられているということになります。
また守秘義務の考え方も臨床心理士と公認心理師では異なると思われます。ケースによって、対応する法律が変わるからです。虐待のケースがあったとすると、児童虐待か高齢者の虐待かをわけて考えなければなりません。通報先は必ずしも警察ではなく、子どもの場合は児童相談所が妥当ということになることもあるということです。
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