京都学園大学工学部設置構想に思う
私立大学にとって、避けては通れない問題として、いわゆる2018年問題があります。
2018年問題とは、2018年頃に18歳の人口がさらに減少し始めることです。これに伴って、淘汰される私立大学が急増するとされています。1992年には205万人だった日本の18歳人口は、2009年には121万人まで減り、その後現在まで横ばいの状態が続いていましたが、2年前の代々木ゼミナールの大規模な縮小に象徴されるように、これより先、18歳人口が、2018年頃から再び減少し始め、2024年頃には約106万人、2031年頃には99万人と、100万人を切ると予想されています。これは人口問題と直結しますので、国家規模で取り組むべき問題でしょうが、今更人口は増やせなくなりました。そうなると、少ない人口に適応していくことが各方面の課題であり、大学経営も例外ではありません。現在の規模で大学を運営していこうとすると、進学率をかなり上げていく必要があるのですが、今の大学にそれほどの投資的価値を見出す人は多くありません。若者の多くは「食いっぱぐれになりたくない」のです。バブル期の大学には「食いっぱぐれになりたくなければ、どこでもいいから大学くらいはでておけ」という風潮でした。その背後には「どこであっても」大卒資格は一定の価値があると考えられていたのです。しかし、人口が減ると、学校経営のあり方が重要になり、まず「どこでもいい」神話が崩れます。これに敏感に反応したのが短大と女子大でした。すなわち四年制化と共学化が進みました。これに成功したとされるのが、武蔵野大学などいくつかあります。失敗したところは言えません。都市部はこのような改変である程度うまくいきますが、地方大学で危機に陥る学校が出始めます。その後、徐々に有力大学も動き始めます。まずは小学校からの一環教育という名の青田買いが始まります。同志社、立命館の小学校設置は大きな話題になりました。次に起こったのは、看護系学科や心理系学科の売れ筋の導入です。同時に、学部、学科の再編、増設が次々になされ、現在に至ります。
この流れを見ると、大学のできる打ち手は尽きてきているように思えます。こうなると、公共や企業とタイアップをしていく学校も出てきます。最も驚いたアクロバティック技は、昨年設置された福知山公立大学です。私はわざわざ校舎を見にいきましたが、私立大学を福知山市が吸収したのです。これで安泰かどうかはわかりませんが、期待されています。
以前も述べましたが、大学進学率は今から大きく伸びることはないと予測されています。しかし、18歳人口が減少し始めると、大学進学者数自体が減少するのは必然ですから、2018年以降は定員割れの状態に陥る大学の増加は避けられない状況です。私が大学生の頃は、学生数が多かったので、有力大学は郊外に巨大なキャンパスを作って、拡大路線をたどりました。今はその時代がおわり、都市部にキャンパスを作るか、本部の建物を巨大化して、利便性の高い都市部で、最先端の施設を提供するという肥大化策をとっています。しかし、冷静に考えると、こんなに肥大化した大学を経営した前例などありませんし、その先どうなるのかも誰も知りません。
今のところ、潰れる大学と巨大化した大学の二極化に向かっています。このような前例のない巨大大学の経営は容易ではなく、先行きは不透明です。
私としては、小規模大学の中身を充実させることが重要だと考えています。地域に密着して、地域に役立つ人材を輩出することが重要です。もっと言えば大学院の充実こそ2018年問題に対処する最善策と考えています。
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