ネガティブな自動思考をやめてみる

井上博文

井上博文

テーマ:REBT 論理療法

自動思考とは、思考のクセのようなものです。これにはポジティブとネガティブがありますが、ポジティブならいいというわけではありません。しかし、ネガティブでいいことはほとんどないと言えます。私の用語で「アクロバティック思考」と言っていますが、私から見て、「なぜそれがそうなる?」と問いたくなるような思考の持ち主は少なからずいます。もちろん、「自分が正しいのに」、と比較して言っているわけではありません。

ネガティブな自動思考の人は、イラショナルビリーフが多く、「みんな・・・絶対・・・私(彼、彼女)のことを・・・」「(これまで)なに一つ・・・(良いことが)ない」「全く(全部、ずっと)・・・」といった言葉が、その次の句を自動的に呼んできます。もちろん、すべてが悪いわけではありませんが、内容によっては、「わざわざ苦しみたいのか?」と疑問に思わざるを得ないような方向でものを考えてしまうことになってしまいます。
例えば、一人に嫌われたとすると、「全員私のことを嫌っている」→「これまでも、いつもそうだった」→「こういう時は(場所は)、何も良いことがない」→だから「あの人の周辺(住んでいるところ、出入りしているところ)や友人関係者には近づかないでおこう」・・・こういった思考は、かなり厄介です。自分でもどこかおかしいと気づけばいいのですが、こういった思考に追い込まれる人は、なかなか気づけないという面もありますし、どこかで、不幸な自分を描いていることで不安解消をしていると思い込んでいるケースも少なくありません。
このような思考だけでも厄介なのですが、このような事実とかけ離れた思い込みに加えて、他人のせいにするというクセがついているとさらに厄介です。
例:「私の会社の経営状況が悪い」→「このままだと危機に陥る」→「原因を分析しないといけない」→「調査した結果、A(他人)の仕業であることが判明した」→「Aは嘘の合格実績を掲載している」→「業界の健全化を図らねばならない」→「だから自分のホームページに誹謗中傷を書いてやろう」
こんな冗談みたいな人は実際に存在します。以上は、実は経営の悪さ以外は、そもそもどこにも存在しないことです。また話がいつのまにか「業界の健全化」という誇大な目的にすり替わっています。しかし、思い込みが強い人の自動思考は、思考というよりも妄想に理屈らしき言葉を貼り付けた大変質の悪いビリーフになっています。当然ながら、こういった人は反省をしませんので、同じ事を何度も繰り返します。また他人の話を一切聞きませんので、裁判に負けると、今度は裁判官のせいにする始末です。もう支離滅裂の無茶苦茶・・・

このような人にならないようにするためには、まず自分の自動思考と向き合うことです。いつの間にか、自分の自動思考を「常識」と思い込んでいることがあるはずです。英語の学習などは典型です。日本人の英語学習の常識は、世界の非常識です。逆さまにして言語を読むなんて方法を公教育で教えている国はまずないでしょう。でも私たちはそれが当たり前になっていますし、英語というと自動的にバックして読むことに疑いを持ちません。そしてわからない、できないと次は単語力の少なさのせいにします。これは間違っていないのですが、単語を増やしたからといって読めるようになるかというと、そうではないという事実を無視します。だからこのあたりで、英語をあきらめてしまう人が増えてしまうのです。そうすると、今度は、「英語くらいアメリカに行ったら3歳の子どもでも話す」とまた極端な方向にスライドしてしまいます。

こういった自動思考に抱きつかれると、その分野での成長は難しくなるでしょう。そこで、向き合った自動思考に今度は疑いを挟み込みます。「本当にそれでいいか?」と。「本当に正しいか」「本当にそれが正しいなら、その根拠は?」「その根拠を出したら、どのくらいの人が納得するか?」と。自動思考に負けてしまっている人は、必ず言います。「他の人にとって間違っていても、私には正しい」と。こうなると、手を差し伸べてくれる人でさえ、引っ込めてしまうかもしれませんので要注意です。悪循環の人は、「じゃあ、もういい」とばかりに、他者との接触を断ち、すべては「他人が悪い」に落とし込んでしまいます。

ポイントは、自動思考への気づきと、間違いへの気づきと、間違いを正すことです。間違いは誰にでもあるのですから、気づけばどんどん正せばいいのです。
私はこれを必修で「エラーチェック」というトピックで話しています。これについては、
受験勉強のスタートはエラーチェックからです
思考のエラーチェックをしなければならない理由
以上をご参照ください。



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井上博文
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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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