布施について
『近代仏教スタディーズ』(法蔵館)という書籍が出ました。
この国の歴史教育は、近現代が極端に弱いと指摘する人は多いのですが、改善した歴史はありません。無意識的に書きたくなくなるのかもしれません。本書は、仏教及び仏教学という観点から、日本の近現代史を眺めてみるというものです。例えば、荻原雲来という人物に焦点を当てて、その人が、激動の時代にどうやって大英帝国に渡り、師、マックスミューラーとどんな関わりがあったか、こういったことを述べている書籍はあるのですが、明治前後の時代、全般の仏教者の活躍を総合的に描いたものはほとんどありません。また、単に活躍のみを描くのでは泣く、廃仏毀釈の仏教受難の時代、それぞれの仏教者は何に活路を求め、いったいどんな動きをしたのか、という問題は重要です。この国が覆い隠したい歴史は、何も戦争時代のことだけではありません。廃仏毀釈、神仏分離令は紛れもなく黒歴史です。この時期は、激動、激動、激動の時代です。もはや何が正しいのかわからない時代だったでしょうし、新しく急進的に生まれた明治政府に、振り回された時代でもあったでしょう。そんな時代、仏教と仏教者と仏教学者は、内よりも外に目を向けます。鈴木大拙は、英語で仏教を海外に発信しました。ユングとのやりとりはあまりにも有名です。大谷光瑞は、当時未開の中央アジア世界に探検隊を送りました。当時の中央アジアは欧米列強がひしめき合う地でした。爆薬で仏教壁画を洞窟から引きはがして持って帰るような国もありました。大谷光瑞は、国家ではなく、本願寺の資金でそれを行ったのです。よほどの情熱がなければできないことです。このような仏教者が海外に何を見いだし、何を求めてこの国を飛び出したのか。本書を読むとよくわかります。
近現代史、仏教学に関心のある方は一読の価値ありです。
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