いわゆるポスドク問題
心理学の研究結果、6割以上が再現不可能という記事を見ました。
これを見て、まず私が感じたのは4割は再現可能なのだということです。
純粋な理系の学問だと、それではいけないのかもしれませんが、
心理学は、理系に属する部分もあるにせよ、人間の不確実性に
挑む学問でもあるわけですから、4割の再現性というのは、私には非常に
高い数字に思えました。
この記事の骨格を示す一節は以下の文だと思います。
サイエンス誌の編集主任を務める心理学者のギルバート・チン(Gilbert Chin)氏は
「今回のいささか落胆させられる結果については、各学説の妥当性や虚偽性に
直接言及するものではないことに留意する必要がある」と話す。
しかし、その一方で「今回の結果が実際に示しているのは、原著論文の実験結果の
多くに関して、それほど信頼を置かないようにするべきということだ」とも指摘した。
再現不能とされた研究にも、それぞれの事情があるでしょうから、
一概に間違い、虚偽ということは言えないと思います。
多くの統計を用いた研究は、その限界についても言及していますので、
(それを言い訳と取るかどうかは別として)
今後の課題を常に残しています。基本的に課題は、サンプル数を増やすことが多く、
それによって、結果の確実性を増そうというものです。人間を扱いますので、
諸行無常である以上、全く同じ条件を作ることは、非常に難しいため、
多少の誤差はでますが、それを補うのが量だということになります。
その分、現在の研究はこれからのための足がかりであったり、基礎固めであるという
色合いが濃いということが言えると思います。基礎研究の重要性は、
特段、私が言うまでもありませんが、現代科学は、徹底したエビデンス主義ですので
今後、様々なエビデンスを獲得するような研究がもっと進むことになるでしょう。
問題が生じる恐れがあるのは、科学者らが「有意」と考えられるもののみを
含めるために自説に都合の良いデータだけを選び出す場合や、
研究規模が非常に小さいために偽陰性や偽陽性が発生する場合などだ。
ノセック氏によると、科学者らは自身の研究成果を主要学術誌に定期的に
発表する必要に迫られており、このプロセスが実態の歪曲(わいきょく)につながる
可能性があるという。
これは、文系理系問わず、すべての研究者が気をつけねばならないことです。
私も、「自分の都合の良いようにしか資料を読めない輩」につけまわされていますが、
これは研究者として最低の行為です。あらゆる研究者に共通することは
普遍的事実の追求であって、自分の都合の良い事実を捏造することではありません。
こういった輩ほど、他人のことを「捏造」と騒ぎ立てるから厄介です。
常に振り返るのは我が身です。
普遍的事実を追求しようとする姿勢を崩さず、地道な調査とデータ収集を
積み上げていけば、いずれ(小さくとも)成果は出るものです。
STAP細胞騒動のように、きらびやかな世界だけではなく、研究は「地を這うとも」
表現されるように地道な積み重ねが物を言う世界です。
もちろん、その分、日の目を見ることのない研究や研究者も多く、不遇の生涯を
過ごした人も少なくはありません。数多の犠牲も含めた基礎の積み重ねが今です。
心理学系のエビデンス研究は、その下地に乗り、これからどんどん進んで行くのです。
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