成長につながる自己変革
少し前に出たものですが、
『「灘→東大理Ⅲ」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』
という本があります。
私はこの本のすべてに賛同するわけではありませんが、
こちらを参照
一理あると思える点ももちろんあります。
灘から東大というコースが素晴らしいことかどうかは議論の余地があって然るべきかと思いますが、
それができる人とその協力者が頑張るのであるなら、特に問題はありません。ただ、確実なことは、
マネをして、うまくいくということはないということです。あくまで、こんな事例がありましたよ、
というレベルです。誰でも灘から東大理Ⅲに行けるということではありません。
これはスポーツでオリンピックに行って活躍するような人と構造が似ています。
私はスポーツ畑から出てきましたので常にスポーツのケースと対比して考えるのですが、
例えば、陸上競技で、ハンマー投げの最高峰である室伏広治選手という、
日本選手権20連覇をした偉大な選手がいます。私と同世代ですが、高校時代から
怪物でした。日本選手権で20連覇と言っても、20年間出場するだけでも大変なのに、
20年間日本一であり続けたのです。オリンピックでも金メダルを獲得したことがあります。
この室伏選手のお父さん、重信氏も偉大なハンマー投げの選手でした。お父さんの
日本記録は息子に抜かれるまで、ほぼ不滅と言われていた記録でした。
現在も歴代2位のはずです。そのため日本のハンマー投げの歴史はこの親子が作って、
育てたと言っても過言ではありません。当然ながら、室伏選手は、お父さんの英才教育を
受けました。重信氏もハンマー投げに関する著書をいくつか出されていたと記憶しますが、
あまり室伏選手の育て方について語っているのを見聞きしたことはありません。
わずかな時間で、少し語っているのを見たことがある程度です。
しかし、例えば、私が室伏選手と同じ年月、同じ教育をうけて、努力をしたら、
オリンピックで金メダルが取れるかといわれると、間違いなく無理だと思います。
仮にお父さんから直接指導を受けても室伏選手の足元にも及ばないと思います。
事実、この20年日本には、彼を脅かす選手は出なかったのです。だから今年、彼は、
自分が出ることによって、後進が育たないという理由で日本選手権に出場しなかったくらいです。
室伏選手が元々才能があった言えばそこまでですが、やはり、教育と彼の努力と才能のすべて
がうまく噛み合った結果だと見るのが合理的です。この国には彼のお父さん以外で
彼を指導できる人はいなかったとも言えます。その意味では恵まれていたのかもしれませんが、
一流同士のぶつかり合いがあったすれば、大変な苦労もあったでしょう。
私は、こういった灘から東大に合格させた系の書籍の方法論とは、受験競技に適性の高い
親子が、受験界の最高峰を目指し、親が子どもの幼少期より教育、訓練を課し、
親子二人三脚でたどり着いたストーリーだと認識しています。
室伏選手のお父さんが、室伏選手をどう作ったかという体で本を書いたようなものです。
(実際は書いていないと思います)
それを目指す親子はたくさんいるのですが、期待通りに結果を残す子どもは、やはり
ごく一部だと思います。私は、こういった本は、コーチが出すのではなく、選手の側が
出せるようになればいいと思っています。努力した本人は、もしかすると、親の認識とは
まったくかけ離れた思いをもっている可能性が高いのです。それでもなお、何らかの
理由で努力を諦めず、親の言うことも受け入れ、自分なりに創意工夫してきたからこそ
成功があるのだと思います。当然、室伏選手もそのはずです。
親が子ども3人東大の理Ⅲに入れたということは、すばらしいことなのかもしれませんが、
そのメソッドがあるとすれば、子どもたち3人の偽らざる言葉の中にこそ、本当の
ストーリーが隠されているはずで、そこにこそ、実際に役立つ技術がちりばめられているはずです。
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