京都学園大学工学部設置構想に思う
2014年は私個人にとっても「科学者」「研究者」とは何か
ということを考えさせられる年でした。もちろん、それまでも
常に考えてきましたが、それ以上に研究者を名乗る人間が
嘘をついたり、ねつ造をしたりするという現象がたくさん
クローズアップされたことも大きな要因です。
STAP細胞問題が2014年の研究業界における最大の問題で
あったことは間違いありません。もちろん、私は専門外ですので、
専門家の分析を時系列に何度も追いかけるしか、真相を知る術は
ありません。しかし、多くの人が、様々な角度から、何度も検証した結果
STAP細胞はねつ造であることが、ほぼ確定的になりました。
これは非常に残念なことです。しかし、この問題について、どれほど多くの
人がかかわって、トップ研究者が一人、自ら命を絶つという痛ましいことに
連なってしまいました。これからも刑事告訴や民事訴訟が起こることが
予想されています。
研究者が嘘をつくということは、これほどに重いことなのです。
こういった事件を見て、多くの研究者は、反省をしたり
(ごめんなさいの反省ではありません)、危機意識を持ったと思います。
いずれにしても、これは、研究者個人が事実を追求することが基本的な
仕事であるからこそ起こりうることです。例えば食品会社が、問題を起こしたとしても
(歯が入っているなど)、
それはその会社の問題で、誰の歯であるかはあまり問題になっていませんし、
食品産業全体の問題には波及していません。
だから、他の会社で歯が入っていたとしても、自分の会社では起こり得ないことと
考えるのが通常です。自分の会社の生産ラインを止めて、不備がないかどうかを
検証することは、余程のことがないとないと考えられます。
(本当はあった方がいいのかもしれませんが)
研究者は、基本的には個人がするものです。この問題は、先日のノーベル賞受賞者の方にも
あったことですが、基本的な責任は、論文に名前が掲載された人に帰属します。
大学など所属先に責任が及ぶことはあまりありません。国立の組織などは
税金で運営されているため、組織への風当たりは強くなりますが、それでも
今回の小保方氏のように個人を切り捨てることで解決が図れるのです。
最近は共著になることも多く、責任の分散はありますが、それでも責任の大きさは
この一年の経緯を見れば明らかです。
しかし、2014年は、嘘をつくこと、ねつ造をすることは、これほどに重いのにもかかわらず、
研究者を名乗る人間が平気で嘘をつき、証拠をねつ造するという事件に
私自身が巻き込まれてしまいました。私は、なんとなくですが、研究者を名乗る人に
こういったことをする人はいないと考えていました。研究者性善説をどこかで
信じていました。しかし、結局は個人の問題であるし、そういうことができてしまう人間がいる
ということをまざまざと見せつけられました。
研究者は多くの場合、口が達者ですので、いろいろ言います。
ねつ造が白日にさらされ、言い逃れできなくなると、論点を「間違い」に切り替えます。
こうなると他人を巻き込みます。なぜなら「自分が間違った根拠」が必要になり、
それは得てして、「自分の関知しないところで生じた根拠」だからです。
「誰かの出した杜撰な証拠を、不用意にも信じてしまったがために間違えてしまった私」
を描き出さねばならないのです。こうやって自分のついた嘘に他人を巻き込み、
さらに問題を大きくして、さらなる被害者を出すのです。
嘘をついた研究者は、自分一人で全責任を負う。これが研究者の基本的姿勢です。
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