「あなたの座右の銘を教えてください」と聞かれたらどうしましょう?
スコットランドがイギリスから分離する可能性がありました。
大英帝国などと言われたイギリスの危機と捉えた人、
世界経済の危機と捉えた人など、スコットランドの分離、独立によって
どんなことが起こるのかという議論がたくさんありました。それだけ
多くの人にとって想定外というのか、そんなことが起こりうるということさえ
無頓着だったのかもしれません。昔、映画でスコットランドや
ウエールズが別々であったということを見たことがあった記憶はありますし、
またケンブリッジに留学していた知人から、スコッチウイスキーの話を
聞かせてもらったときに、なるほどこういった考えがあるのかと
感心した記憶もあります。
国家にせよ、宗教団体にせよ、大学にせよ、はたまた私たち塾にせよ
自分たちの存在意義を主張するために様々な理論武装を行います。
理論武装の根拠になるのは、多くの場合「歴史」です。いわゆる歴史問題は
この国の長年の泣き所であり、隣の国の大統領の千年発言に代表されるように、
良くも悪くも自国が存在する限り、お互いにまとわりついてくる問題です。
現在のこの国の存在意義の理論武装の一つに戊辰戦争があるように、
国家としての存在意義を主張する場合、たいてい、戦争(内戦)があり、
「今の我々は「勝者」の側である」というのはわかりやすい存在意義の主張です。
世界を見渡しても、別に珍しい話ではないので、ある種の正当性があると
言えるのかと思います。しかし、敗者の側もあるわけで、敗者として、
勝者の側に糾合されるのは、世の常とは言え、勝者の側の誇りと栄誉と
同レベルの屈辱と復讐心を持っていると言えます。しかし、この敗者の側への視点は、
勝者の側に欠けていることが多く、これがさらに感情を刺激することもあります。
スコットランドが糾合されたのは1707年だそうです。1600年、日本で言えば関ヶ原の戦いの
時代にイギリスはインドを植民地にして、東インド会社を設立したので、イギリスの
最盛期の時代とも言えます。併合された背景はたくさんあるでしょうから、一概には
言えませんが、ある程度双方が納得できるだけの理論武装がなされたことは
間違いありません。武力の背景もあったでしょうから、決して褒められたものでは
ありませんが、その当時の時代背景も理論武装に影響します。
今から300年前の話など、基本的には誰も関係のない話ですが、
アイデンティティというものは、長く受け継がれていくものです。敗者の側であっても
誇りを捨てさせられる言われはありません。長い年月の間に薄まってくるのは、
むしろ勝者の側のアイデンティティの方です。300年もたては、敗者の側の
屈辱など、誰も目を向けなくなってしまいます。
勝者、敗者いずれにせよ、諸行無常ですから、国の安定や維持を
図るのであるならば、歴史と理論武装は、常に行う必要があります。
と同時に勝者の側は、敗者の側への配慮を忘れないように、引き継いでいく
必要もあります。
他国のことはともかく、この国も沖縄や北海道への眼差しが欠けているように
思えてなりません。スコットランドの人々が感じていたような感情を
この国の人が感じていないとはとても言えません。グローバルとかなんとか言う前に
沖縄や北海道に目を向ける視点を持った上で、理論武装をすることが大切なことです。
私たちが手がける受験でも理論武装は重要です。
例えば臨床心理士指定大学院の場合、面接時間が30分と指定されている
ところもありますが、志望理由や研究計画など、暗記できる部分だけを話させるのではなく、
そこに突っ込んだ議論を投げかけてきます。
どういう理論構築をしてきたか、どういった論理構造ができあがったかと
主張の根幹に迫ろうとする面接があります。近年、京都光華女子大学が
その傾向が強く、自分の理論に強い意志を持っているかどうかとが試されます。
やはり、臨床心理士としてのアイデンティティが育つのか、あるいは、
クライエントと向き合ったときに、臨床心理士として、強い自覚を持って臨めるのか、
そのあたりが問われているのだと考えられます。
その意味で理論武装をしていきましょう。
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