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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

センター試験廃止と人間性重視

2013年10月26日

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

文科省によれば、現行のセンター試験を
「達成度テスト(仮称)」に改め、
基礎テストと発展テストに分けるそうです。

基礎テストは高校2年から複数回受けられ、大学の推薦・AO入試と併用できる。
発展テストの結果は1点刻みではなく幅をもたせて段階的にランクする。

なんのこっちゃ全然わかりませんが、
1点刻みのテストで、合否が決まることを良しと
していないことはなんとなくわかります。

問題は二次試験ですが、原則ペーパーテストは廃止する
という方針のようです。要するに小論文や面接を重視するということでしょう。
なんとなくアメリカの大学入試制度に似せたいという
雰囲気を感じます。アメリカでの基礎学力テストは
SATやGPAに相当すると思いますが、この数字だけで全てが
決まるという方式ではなく、さらにエッセー(小論文とは少し違います)
面接と課されていきます。
これを行うと、高校三年間での学習はかなり重要になってきますので
高校で勉強する人は増える可能性は高まると思います。

しかし、どんな制度でも完璧なものはありません。
このような試験の難点は、大学側の試験官の負担が
極めて大きいということと、このようなテストの場合、
受験生も複数の学校を受験しにくくなるので、
どこにも行けない、あるいは最初からレベルを落とすという
現象が起きやすく、上位校(特に国立)と一貫校が一人勝ち
するという現象が続くのが目に見えています。
それが良いか悪いかを一概に言うことはできませんが、
適応できない学校、個人が大量に出ることは間違いないでしょう。
また、社会人から大学に行きたい人が、この少子化の時代
大学にとっても大切だと思うのですが、現時点では
まったく置き去りになっています。

いずれにしても大学受験で「人物重視」はいかがなものかと
私は考えています。例えば、具体名を出しますが、
関西圏名門私大同志社大学や立命館大学を外部から受験するとして
内部の系列校から上がってくる人と、「人物」の良し悪しを
区別することができるかという問題が生じます。
これをクリアするのは、かなりの勇気と時間を要すると思います。

人物重視の試験に偏ったばあいの問題として、尺度の問題があります。
私たちでも、上っ面で良いことを言わせれば、いくらでもそういった指導は
できます。しかし、高校生にそこまでどこまで要求できるかは
甚だ疑問です。それでなくとも、今の大学生は「良い子」が
大量にいます。私が大学生になった時のことを思えば
(私が異常だったことも否めませんが)
本当に良い子が増えています。授業の初回に、アンケートを
配布して、私の講義内容について正直な印象を書いてください、
と伝えると、大半が「意欲を持って受けたい」「頑張る」
「毎回出席したい」などなど、教員が喜んでくれそうなことを
書いてくれます。しかし、最後1月に再度アンケートをとると
「寝てしまった」「休んでしまった」などのオンパレード。
まぁ、そんなもんかと割り切ってはいますが、良い子が大学に染まると
そんなデコレーションさえ剥がれてしまうのかと思うと、
非常に残念です。
いずれにしても人物を明確に測る尺度をどうやって作るのか
こういったところから始める必要がありそうです。

本当のところ、変えるべきは現状の大学生の方です。
若者は、方法さえ間違えなければ、どんどん伸びていくと思います。
若者を伸ばす方法論を大学が持っていることが最も大切だと思います。


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