販売促進について考える―まだまだ手薄な地方企業における販売促進戦略事情―Ⅳ
広告には2つのタイプがある
広告宣伝には大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれどのようなタイプになるのでしょうか。
ひとつは、日々新聞に折り込まれてくるスーパーのチラシなどです。ここには具体的に、今日の安売り商品はこれこれですよといった情報が書かれており、売りたい商品が直接紹介されています。
一方、ファッション専門誌などには、様々な高級ブランドのちょっとアーティスティックな広告ページを見ることができます。ここではブランドイメージだけがひたすら訴求され、価格はもちろんのこと時にはそのブランドの商品さえ登場していないこともあります。
同じ広告宣伝といっても、両者は全く異なる世界観と役割を持っているのです。便宜上このコラムでは、直接訴求するタイプの前者の広告を「直訴広告」イメージを伝える役目の後者の広告を「イメージ広告」と呼ぶことにします。
「情報発信(アウトプット)」は広告宣伝か?!?
ところで、かねてから私がこのコラムで申し上げている経営者自らが自社の様々な情報を発信してはどうか、という提案も広い意味での広告宣伝と言っていいでしょう。とすれば経営者の「情報発信(アウトプット)」は、先述した二つのタイプのどちらに属するのでしょう。
もう一度、私の申し上げている経営者の「情報発信(アウトプット)」の意義を振り返ってみましょう。それは
― 自社の事業内容や専門性、こだわり、守ってきた伝統や信条、哲学、目指している理想像などを、発信可能なコンテンツとして抽出してまとめあげ、それを様々な媒体・・地方メディアやSNSなどを通じて「情報発信(アウトプット)」すれば、それによって強力な販売促進戦略が構築されるため、業績アップに貢献することになる。―
というものでした。
これは、商品を直接紹介するものでもなければ、イメージを訴求するものではないので、正確には「直訴広告」にも「イメージ広告」にも属さないといえるでしょう。とはいえ、会社の内容や存在そのものを、地域の人々に広く知らせるという意味では、広告宣伝と言えなくもありません。
「第3の広告戦略」による販売促進
ただし、この「情報発信(アウトプット)」では、直接自社の商品を話題に持ち出して売り込むといった行為は避けなければなりません。あからさまな広告宣伝と捉えられれば、敬遠されかねないからです。
そのため、「情報発信(アウトプット)」による販売促進戦略は、どちらかといえば「イメージ広告」に近いといえます。ただ、「イメージ広告」のような曖昧な世界観を訴求するものではなく、明確なメッセージを伝えるという点では、また異なるタイプのものと言えるのです。
そのような意味で、私はこの方法論を「第3の広告戦略」といった呼び方をしています。この「第3の広告戦略」には、他の2者と明らかな違いがあります。
「直訴広告」にしても「イメージ広告」にしても、「広告費」という企業にとっては多額のお金がかかるという点がその特徴であり、負担でもあります。その点、「第3の広告戦略」は大きな費用がかかりません。費用をかけないことを目指していた訳ではありませんが、結果的にはそうなるのです。
大きな費用対効果
それでは、他の2者は、なぜそんなにお金がかかるのでしょうか。それはその制作や媒体への掲載費用をプロに頼まなくてはならないからです。
「直訴広告」のデザイン料や印刷コストは、昔に比べてかなり下がったとはいえ、専門家に頼まなければならないことに変わりはありません。「イメージ広告」にいたっては、その制作費に莫大な経費をかけているはずです。
「第3の広告戦略」は、経営者自身に一見広告には見えない情報発信をしてもらうもので、ご本人に多少の汗をかいてもらうことにはなります。しかしその分、費用対効果には大きな期待が持てるのです。
「そんなのは無理!」とか「面倒!」とか言う声も聞こえてきそうですが、これまでと発想を変えて、「情報発信(アウトプット)」について研究し取り組んでみれば、想定外のプラスの結果を手にすることができるはずです。このコストパフォーマンスに極めて優れた「第3の広告戦略」を使ってみない手はないと思うのですが、いかがですか。
今日も「情報発信(アウトプット)」