顧客の顧客まで具体的に意識できるかどうか―ビジネス支援、直接法か間接法か悩んだ末に―Ⅷ
[ちゃんと評価できるマーケティング的手法は?]
世の中にかなり普及している「SWOT分析」という、マーケティング分析手法。
しかしこの手法、よく見てみるとブレの大きい総体的評価であり、かつかなり主観的なものであるにすぎません。
果たして、そんなにありがたがるほどのものなのでしょうか。
つまりなにが言いたいかといえば、比較という相対的な指標や主観的な判断基準を持ち込んだ「SWOT分析」に対して私はかなり懐疑的である、ということなのです。
何と比較するのか、主観に過ぎてはいないか、といった要素で結果はいかようにも変わってきます。
とはいっても、これまでお客さんに自社について分析してもらうときに、そこそこ使わせてもらったことも確かです。
「SWOT分析」は自社分析のほんの入口のところで、こういったことに慣れていない社長さんの頭の中を整理してもらうにはちょうどいい手法なのです。
そういう意味では、懐疑的とはいっても「SWOT分析」を完全に否定するものではありません。
ただ私は、自社分析の手法としてそれほどレベルの高いものではない、と評価しているだけのことです。
それではもっとほかに、自社のことをちゃんと評価できるマーケティング的手法というものはないのでしょうか。
私はそれを「有形無形の企業資産の棚卸」という方法で実現したいと思っています。
「SWOT分析」に比べて、私がお勧めする「有形無形の企業資産の棚卸」という手法は、まったく違った考え方です。
特に、普段は意識しない潜在的な「隠れ企業資産」を発見していく、という考え方によるものなのです。
これは、何かと比較するのではなくその企業の持つ絶対的な資産価値をあぶり出すというものです。
顕在化している企業資産に比べると、「隠れ企業資産」は少しわかりにくいところがあります。
ここで以前定義しました「隠れ企業資産」がどんなものだったか、もう一度振り返ってみましょう。
それは
「企業の理念や哲学、思いやこだわり、信条、受け継がれてきた伝統といったもの。更に、特殊な技術や人材、社長の人脈といった決算書上の『貸借対照表』には全く表現されない裏に隠れた無形の資産」
というものでした。
こういった資料では表現されない企業資産
つづく