2つの結婚披露宴―悪いことしちゃったなあ・・・遠い昔のほろ苦き思ひで―Ⅰ
[不思議な力が働いたのではないか!?!]
仕事を終えて帰ってきた後、いつもは机の上に置いてあるはずの家用の眼鏡がいくら探しても見当たりません。
散々探したものの諦めて、風呂に入り、あがってきて机の上を見たら、なんとそこにあるではありませんか。
さすがに不思議に思い、カミさんが知っているんじゃないか、と思って聞いてみたら、
「ボォーっとしているからよ。」
との返事。
まあ、これは予想通りの反応ではありました。
これまでも似たようなことはあったとはいえ、この日はさすがに納得がいきません。
私にとって、これはもう少し突っ込んで追求したい「事件」であったのです。
そのとき、頭に浮かんだのが、座敷童(ざしきわらし)或いは妖精といったちょっとした空想(ファンタジー)の世界でした。
目に見えない不思議な力が働いたのではないか、という疑問です。
そう言えば、眼鏡を散々捜したあと、何で見つからないんだろうと、頭をひねりながら風呂に入っていたら、お風呂のドアのすりガラスの向こうで一瞬誰かが通り過ぎたような気配がしたのです。
ん?カミさんかな、と思ったのですが、そうでないことは確認できました。
この日は、こういったことに対して、気味が悪い、という感覚は全くありませんでした。
それでも、机の上を見ながら
「でも、さっきは絶対なかったよなー。あんなに何回も見たんだもんなー。」
と自問自答を繰り返します。
まあこれは、老人性○○とかいう、何か私にとってヤバい状況なのか!?とも思いたくもありません。
そのとき、座敷童、妖精という言葉に続いて「借りぐらしのアリエッティ」という、最近見たジブリアニメを思い出したのです。
人間の家に密かに住む小人の話です。
「うちのアリエッティめ、こんな悪戯しやがって・・・アリエネッテ・・全く・・」
心の中でつぶやきます。
あまりに不思議だったので、あらぬ方向へ想像が膨らみました。
まあもちろん、そこにあったのに気が付かなかっただけのことだろうですけど、それじゃああまりに救いがありません。
そこで、アリエッティまで引っ張り出して、なんとか自分を取り繕おうとした話でした。
おしまい