義理人情の世界と現代経営―ウエットなしがらみをいかに断ち切るかは大きな課題―Ⅲ
[すべてを変えて行く必要があった]
これまでのように、地縁血縁をベースに成立していた商売が維持できなくなってきたために、それまでの地域社会というマーケットからできるだけ脱却して新しい市場を開拓する必要に迫られていた地方のビジネス事情。
この状況を打破するためには、地縁血縁をベースとした商売を脱却して、まだ出会っていない未知の顧客を開拓していかなければなりません。
そのためには、商品の見直しから営業戦略、販売促進、社内体制、経営者の意識等々、すべてを変えていく必要があります。
しかしながら、これまで述べてきたようなマインド或いは慣習で商売が成り立ってきていたために、多くの経営者が何をどうしていいかわからない状況でした。
まだまだ、他社依存、成行き任せといった体質で、自ら何かを仕掛けなければ、といった方向性で考える経営者は少なかったのです。
私自身も、ここまで述べてきたようなことを、初めからロジカルにきちんと分析し理解できていたわけではありません。
今でこそ、こんな風に書けるくらい論理が整理されていますが、当初は戸惑いの方が多く、どのように助言し修正を促していったらいいのかわからなかったのです。
ただ、「東京主義」と言われようとなんだろうと、自らの仕事だけはきちんとビジネスライクに進め、情報発信や販売促進を怠らないようにやってきました。
そして、その考え方や手法をできるだけ多くのお客さんに伝えようとしたのです。
残念ながら、お伝えする方はあまりうまくいったとは言えません。
しかし、東京主義だ、なんだと散々揶揄された自らのビジネスの方は、なんとか右肩上がりで伸ばすことができました。
このことを冷静に振り返ってみると、私が決して「東京主義」や「東京方式」といったものを貫こうとしたわけではないことに思い当たります。
のどかな田舎というけれど・・・
つづく