どこでやるのか、は大事?―考えてみよう、立地というブランド―Ⅲ
[裏目に出た他人に聞くのを恥とする風土]
三菱重工業、宮永俊一社長へのインタビューはさらに続きます。
顧客主体(マーケットイン)に環境が変わってきたのに、なぜ有効な対策を取ることができなかったのか?
という質問に対して
― 三菱重工業は複数の造船所がありそれぞれ独立性が強い。
自分たちだけでやろうという「自前主義」が幅をきかせている。(中略)
他人に聞くのを恥とする風土がある。―
と、答えていました。
独立性が強いのは何も悪いことばかりではありません。
技術力の承継が確実に成され、統率力の強さや責任感といった点では、いいことも多々あるだろうと考えられます。
しかしながら、今回の豪華客船製造においてはそれが裏目に出ました。
その点を宮永社長は次のように述べられています。
― 同じところにいると、同じような考えや色に染まる。
だが、大型客船のような新プロジェクトに挑戦するときは、いろいろな人が交ざってワイワイがやがややらないといけない。―
これは、消費者との直接の接点のない重厚長大産業の最大の死角ではないでしょうか。
BtoBの取引は得意としていても、BtoCになればまるでその中身は違ってきます。
豪華客船事業はまさにその視点を必要としていたのです。
これが豪華客船のデッキです。
つづく