もったいないよな~この景色―海のロケーションと日本文化を考える―Ⅲ
[やってみなきゃ、わかんないじゃん!]
ほぼ日本人全体に共有されているのではないか、とさえ思える、仕事における「安定志向」という価値観。
その価値観の中には「安定=幸せ」という図式がガッチリと組み込まれているのでしょう。
「幸せ」の構成要素に「安定」ということがないとは思いませんが、一方で、安定=無変化、安定=無成長、安定=退屈といった見方もあるのです。
私などはどちらかというと後者の価値観を持つ方です。
「安定」を積極的に嫌っているわけではないのですが、もし「安定」が手に入ったとしても「安定」の中から常に次のステップを構想するでしょう。
「安定」のまま終わることは考えられないのです。
「うちの息子には無理をさせたくないから。どうせ向いていないから。」
という理由で、営業的なことを避けさせる、チャレンジさせない、冒険させない、ではひ弱な人間しか育たないと思います。(尤も、冒険は自分の意思でするものではありますが・・)
そうやって親の勝手な思い込みで子供将来を決め込んでしまうというのも、子供にとって失礼な話ではないでしょうか。
「やってみなきゃ、わかんないじゃん!」
というのが私の持論なのです。
第一に人生において一回も営業をかけなくて済む、ということはあり得ない話です。
どこかで必ず自分を売り込まなくてはならない場面が出てきます。
勝負をかけなきゃいけないときに勝負できない男では情けないではありませんか。
第二に「安定志向」というのは、勝負をしない、或いはするとしてもケチな駆け引き的勝負程度で済ましてしまう、といったニュアンスを感じないではいられません。
できることなら真正面からのチャレンジは避けて通りたい、という姿勢が見え隠れするのです。
書評は次のような一文で締めくくられていました。
― 日本では徹底的にネガティブなものとしてとらえられている「インフォーマル」な働き方を、高い柔軟性をもった優れた生存戦略としてとらえなおし、日本人の生き方の改革を提起する刺激的な本である。―
基本「安定志向」の日本がどこに向かうのか、この本などを参考に見守りたいものです。
昇る朝日のように前向きに行こうよ。
おしまい