どこでやるのか、は大事?―考えてみよう、立地というブランド―Ⅲ
[世の中に「不必要経費」はあっても「必要経費」というものは存在しない?]
私は会計や税務を生業(なりわい)としているので、この業界独自の専門用語を使う機会は多くなります。
そんな中でも、特に登場回数が多いのは「必要経費」という言葉です。
これは、企業業績の記録を整理して利益を確定するのに、計算上どうしても欠かせない項目の一つであります。
お堅い言葉の多い我が業界ではありますが、この言葉は割と一般にも馴染んでいる方ではないでしょうか。
しかし、ふと考えてみました。
「必要経費」っておかしくないか?
「経費」というのは、いわば仕方なく支出する金銭のことを指します。
できれば低く抑えたいし、出さなくて済むものならばそれに越したことはない、と、事業を経営していればほぼ万人が思うのではないでしょうか。
つまり、「経費」というのを「必要」なものとして考えるのは不自然であり、むしろ「不必要」なものとして認識する方がそもそも自然なのではないのか・・・・・
誰もがない方がいいと思っているその言葉の頭に「必要」と付けること自体に違和感はないのか?・・・と考えたのです。
そう突き詰めていくと、世の中に「不必要経費」はあっても「必要経費」というものは概念上存在しないことになります。(かなり強引な定義付けであることは承知の上であります。)
強引ではありますが、「不必要」なもの、と決めつけてそれを頭につけ「不必要経費」と言いきってしまえば、感覚的に「経費」という言葉に対して自然な流れになりそれほど違和感がないのではないか。(と、私は思ったわけで・・)
ここで
「それはおかしい!必要だから支出するのだ。そもそも経費がなければ企業活動など成立しない。」
という反論が出そうであります。
全くその通りで、論理的にも制度上でも運用面でも間違っているわけではありません。
そう!
これは感覚の問題なのです。
企業活動を「過去の業績の整理」という観点から見れば、全くもって正しい使い方であろうと思います。
しかし、企業活動を「未来への通過点」として考えれば少し違ってきます。
おそらく、私のような感想になるのではないでしょうか。
未来へ向かって企業を成長発展させようと思えば、無駄な経費など使っている余裕はない、むしろ一切使いたくない、と考えるのが自然です。
それでもどうしても「経費」という言葉で、企業活動の一部を表現しなければならないのだとしたら、「必要」の頭に「不」という文字をくっつけて、自然に腑に落ちるようにしたらどうだ、というのが今回の私の見解なのです。
しかしここで
「それでは、これまで使っていた「必要経費」という言葉が規定していた世界をどう表現すればいいのか。」
という問題が残ります。
その点についても考えなければなりません。
データ上はどうしても会計用語を使うわけで・・・
つづく