我々税理士はどうなのか?―業界のあり方について考える―
[肝心なのはアウトプットから先]
規模の大小、業種など企業の置かれている立場は様々なので、導き出された会計データを、企業経営にどう活かしていくかは、その企業その企業によってかなり異なってきます。
つまり「記帳代行業務」も、「インプット作業」といった入口部分ではなく、「アウトプットから先」が、大切なノウハウになってくるのです。
「データの読み込み」といった出口部分において我々税理士の専門性を発揮できれば、標準化、低価格化の呪縛から逃れることができると言えましょう。
この「アウトプットの読み込み」という行為は、同じ判断作業といっても、インプットの際のそれとは格段にレベルが違ったものになります。
インプットの際の個別単純な判断と異なり、アウトプットにおいては総合的、包括的な判断が必要とされるからにほかなりません。
例えば
「御社の財務上のウィークポイントはここであり、今後この点の改善が図られなければ、全社的な業績の向上は困難になるでしょう。」
といった指摘が、極めて的確なものであれば、経営者にとってそれは経営上の判断材料として有効かつありがたいものとなるでしょう。
ところで、ここまででとどめれば、それは経営者が行なう「判断」のサポートということになります。
結果としての事実を指摘しているに過ぎない、といえばそれまでです。
今までそんな指摘すらしてきていなければ、ここまででもそれを初めて受けた経営者には、十分に「ありがたい」と思っていただけるのかも知れません。
しかし、本当の意味で中小企業のお役に立ちたいのであれば、さらに踏み込んだ「仕事」が必要なのではないか、と私は思っているのです。
判断にはいつも悩みます。
つづく