世の中の業界のあり方について根本から考える―我々税理士の世界はどうなのだろうか?―Ⅲ
更に変革を阻む要因として、「業界の常識」という奴があります。
タブーやルールとまではいかないが、なんとなくこれまで守ってきた業界内での慣習のようなもののことを指します。
大抵は、長い間業界内で「当り前」のこととして共有されてきた考え方や習慣なので、外から見てかなり奇異に映っても当の本人たちは気がつかないのです。
これも変革の一歩を踏み出す際の阻害要因になりかねないと思います。
「業界の常識」の最たるものに「人事」があると言えるのではないでしょうか。
「人事」は「役職」と読み替えてもいいと思います。
これは、その業界業界においてかなり独自のものがあり、それを当り前の世界として受け入れているのはその業界内部の人間だけ、ということも珍しくないのです。
例えば、私の所属している税理士会では、会長、副会長、専務理事、常務理事、理事、監事、委員長、室長、県連会長、支部長といった役職があり組織化されています。
もちろんそれぞれに役割があっての組織編成ではありますが、どうしてこんなに細分化されているのか外からはほとんどわからない世界だろうと思うのです。
また違う角度で「業界の常識」を取り上げれば、農業の世界において、何か新規の取り組みを始める際に、補助金や何らかの助成制度があることが半ば常態化している、ということがあります。
農業政策がそれを当り前のこととして運営されてきているので、受ける側もあまり疑問を持っていません。
「援助があって当たり前」という業界の常識は、事業の健全な運営を阻害するのです。
ここにおいては
「事業というものは、収益が費用を上回らなければ成立しない。」
という基本的な事実が理解されていません。
とはいえ、これらの援護射撃にはそれなりに縛りがあって、それが後程逆の意味で効いてくることも少なくないのです。
事業には一定の自由度が確保されていなければ発展は覚束ないと言えましょう。
補助金による縛りはその健全な発展をしばしば阻害するのです。
この海のように爽やかという訳にはいかないようで・・・
つづく