青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
日本の男性の中には、未熟のまま年を重ねるケースが多い。
それは何故でしょうか?
私は、海原さんの回答にある「仕事さえできてお金を稼げば一人前としてきた・・・」という価値観に問題があるのではないか、と思ったのです。
これはおそらく日本が戦後、経済至上主義が続いた時代の価値観なのではないでしょうか。
経済的に豊かになるためには、他の大抵のことには目をつぶろう、とにかく経済的に豊かになりさえすれば幸せになれる、とみんな信じていたのです。
経済的豊かさは幸福感と比例する、大半の日本人はそう思って豊かさを追求してきたのではないでしょうか。
それがすべて間違っていたという訳ではありませんが、現実が示しているように、必ずしもそうはならなかったのです。
確か、幸福実感度みたいなものを測定するアンケートの調査結果では、日本は世界でもあまり上位ではなかったと記憶しています。
つまり、経済的豊かさだけが幸福度の絶対条件ではないことを表しているといえましょう。
とはいえ、「貧困」もまた不幸を増幅させることは確かな事実です。
世界のあちこちで起きている不幸な事象はほとんど「貧困」から発しているといっても過言ではありません。
日本はその「貧困」から懸命に脱出しました。
それは世界的に見ても見事な復活だった、と言っていいでしょう。
今回の相談は、その歪みというかお釣りみたいな現象の一つかも知れません。
ただ、現実に私もよく見かける現象なので、読んでいて心に引っ掛ったのです。
私の経験からいえば、昔バリバリ働いて大きな成功体験を経てきた経営者にもこのタイプは多いのです。
こういう社長や会長は、家庭の中だけでなく、職場でも人の意見を聞かないことがしばしばなのです。
まさに、海原医師のいう「仕事さえできてお金を稼げば一人前としてきたこれまでの日本の男性の象徴」なのです。
経済は右肩上がりで伸びました。