青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
[人生相談、わがままな父親について]
新聞の人生相談欄にはいつも割と目を通しています。
読売新聞のそれは『人生案内』というタイトルで毎日掲載されています。
先日の同欄でちょっと気になる記事を目にしました。
「文句ばかりの80代父を介護」という題名で、50代の主婦が投稿したものでした。
相談者の主婦は母親を先に亡くし80代後半の父親を介護していたとのことでした。
その父親が我が儘な人らしく、昔暴力を振るわれたこともあって、この相談者は介護に気持ちが乗ってこないようだったのです。
その父親は今でも介護されるのが当り前と思っているようで、普段から文句も多いらしいのです。
[未熟な高齢者という病]
今回取り上げたいのは、この相談に対する回答です。
答えるのは心療内科医の海原純子さん、テレビでも時々顔を見かける女医さんです。
この相談に対して彼女はこう答えていました。
― 娘の苦労を思いやることができず自分のことしか考えないお父さんは、年齢の故というより、残念ですが、心の成長をすることなく未熟のまま年をとられたように思います。
仕事さえできてお金を稼げば一人前としてきたこれまでの日本の男性の象徴に思えます。―
短いフレーズの見解であるが、この言葉の意味は重いと思います。
海原さんの「自分のことしか考えないお父さんは、年齢の故というより、残念ですが、心の成長をすることなく未熟のまま年をとられた・・・」というフレーズは短い言葉で、一挙に日本の年配男性のある部分を言い表しているのではないでしょうか。
もちろんすべての年配日本人男性がそうだという訳ではありません。
しかし、海原さんのいうこういう男性が多いことも事実です。
そのことを彼女は「残念ですが・・・」と表現しているのです。
人は年をとるにしたがって成長していく、とは限らないのでしょう。
私はこのことを誤解していました。
多少の頑固さや頭の固さは仕方ないとしても、基本的には、人は年齢を重ねるごとに自然に成熟していくものだ、と思っていたのです。
しかし、この相談にあるように、場合によっては未熟のまま年を重ねるケースもまた多いのです。
少し不思議な気もします。
何故でしょうか?
この海のようにおおらかに生きたいものです。