突破できるのか、業界の常識というハードル―業界の常識は世間の非常識??―Ⅱ
・ブレーンの大切さ
スティーブ・ジョブズの経営を見ていて、まず、参考にしたいのはスタッフ或いはブレーンの存在です。
デザイン、プログラム、組み立てなど個々の作業においては、彼より優れた技量をもつプロフェッショナル達が彼を支えていました。
これらの専門家たちを、彼は独自のリーダーシップをもって励ましたりときには叱咤激励したりしながらプロジェクトの完成へ導いていくのです。(スティーブ・ジョブズの場合、そのリーダーシップが個性的かつ強烈すぎて失敗もするのですが・・・)
私は私の周りにいる経営者たちにも同じことを言いたいのです。
社長であれば、この映画に登場する個々のスタッフが取り組む個別の作業のような仕事に没頭しないで欲しい、と。
社長は、マネージメントに徹してくれ、と言いたいのです。
個々のスタッフの能力を引き出し目標へ導いていくのがリーダーの役割なのです。
その際、なにもスティーブ・ジョブズのような天才的な閃きで未来を見通す力など必要はありません。
今現在、取り扱っている商材或いは取り組んでいる仕事がなかなか思うようにいかない場合、どうなれば今よりちょっとでもましなより良い状況になるのかを想像してみればいいと思います。
経営者であれば、少しくらいその想像力は働くはずです。
もし、自らの仕事において未来の姿が、なにも全く想像できない、浮かんでこない、という人は経営者としての資質を疑ってみるべきでしょう。
そんな人はまずいないと思いますが・・・
仮に今は想像できなくても、この点は訓練することや経営者としてのキャリアを積むことで変わってきます。
常にこの課題(未来を予測するという)を、自らに突き付け続ければいいのです。
その努力を怠らなければ、必ず先見性は身についてくるものです。
また、こういった未来のあるべき姿を実現するには、大なり小なり多くの壁が存在することも分かっています。
凡庸な経営者の多くは、実行に移す前にその壁の前で失速してしまうのではないでしょうか。
スティーブ・ジョブズの偉いところは一度描いたグランドデザインをあきらめないところでした。(彼の場合、その想像した世界が途方もないレベルやスケールという点で、我々とは違っているのですが・・・)
我々の場合も、少し先にある「自分の会社はこうあるべき、こうなればいいな。」と思う姿をあきらめることなく、少しでもその方向へと全体を導いていけばいいのです。