世の中の業界のあり方について根本から考える―我々税理士の世界はどうなのだろうか?―Ⅷ
新しいジャンルの仕事に対して、税理士の一般的な特徴として、こう考えます。
「守備範囲を広げればそれだけ仕事はきつくなる。新しいサービスを考えるのもしんどい。今まで通りのサービス内容で何とかいけないものか。」・・・
つまり、制度に守られてきた自らの業務の範囲に関して極めて保守的なのです。
しかし、こんな根性の税理士に、シビアな企業経営者である顧客がイコールパートナーとしてのポジションを与えるはずがありません。
ということは、今の時代「安く使ってナンボ。」と計算されるのが関の山ではないでしょうか。
税理士がPCの導入などで省力化を図った場合、問題にすべきは「顧客に提供すべきサービス内容」の充実ということになります。
コストを下げ効率化を図る努力はそれなりに取り組むべきでしょうが、それはこちら側の事情であって、問題はその努力によって生まれた余力をどこに振り向けるかということです。
そこのところの熱い議論を、私はこれまであまり聞いたことがありません。
その省力化を実現したことによって生まれた余力を振り向けた先にあるコンテンツが、我々の業界はこれまであまりにもプアすぎたのです。
プアというより、本当はいろいろあったのにそれを見ようとしなかった、取り組もうとしなかったのです。
発見する能力に欠けていたといってもいいかも知れません。
私の最大の関心事はそのコンテンツの発見であり、その発見したコンテンツをもって顧客の問題を解決していくことになります。
そしてその問題解決によって顧客が成長発展していくことが最も興味深いところなのです。
私は常にそう考えてきましたし、部下にもそう考えるよう指示してきました。
幸いにしてそういった目線で顧客の問題を捉えてくる職員も少しずつではあるが出てきています。
顧客の問題解決に資する新しいコンテンツを発見し提供していきたい、といっても顧客の側にそのニーズがなければ何にもなりません。
様々なタイプの課題や問題について、普段から良好なコミュニケーションを取りつつ顧客から聞き出してくるのはそれぞれの担当者の役割なのです。
そういった日常の情報をもとにして、こちらか切れるカードとしてのコンテンツについては当面私が中心になって考えることにしています。
その際に、あまり業界寄りの情報や他の事務所の事例などは参考にしません。
あくまでも自分たちの事務所のオリジナリティーを第1に考えているのです。
しかしながら、とにもかくにも現場から様々な課題や問題を拾ってくるのは担当職員の役割になります。
私と職員たち、この良好で高度な連携がこれからも欠かせないのです。
職員との勉強風景