青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
イチローは数々の安打記録を塗り替えて今も現役で活躍しています。
その彼が、アメリカに渡り大リーグでプレイする、と宣言した時、どのように評価されたか思い出すことがあります。
当時野球評論家(今、政治家だっけ?)だった江本孟紀氏が、テレビのインタビューに応えて次のように言ったのです。
「日本で首位打者取ったからといって大リーグで通じるはずないじゃないですか。向こうにはイチロークラスの打者なんてゴロゴロいるんですよ。同じタイプでもっとパワーのある打者ばっかりなんだから通じる訳ないでしょう。」
といった意味のことを滔々と述べていたのです。
江本氏の言ったようにならなかったのはご存じの通りです。
ゴロゴロいる、どころかあんな稀有な打者は一人もいなかったではないですか。
その、更に以前、野茂秀雄投手がやはり大リーグに渡ると決めたとき、確か江川卓氏だったと思いますが、次のように言っていました。
「日本で球が速いといっても、向こうにはいくらでもいますからね。あの程度のストレートとフォークボールだけじゃあ厳しいでしょう。」
といった意味のことを言っていたのです。
こちらも江川氏の言ったようにならなかったのはご存じの通りです。
大リーガーたちはキリキリ舞いさせられたのです。
つづく