2つの結婚披露宴―悪いことしちゃったなあ・・・遠い昔のほろ苦き思ひで―Ⅰ
ただ、すんなりと会うことができるということと、件(くだん)の会員権に対する評価はまた別の話で、2億円の会員権を
「ほほう、それはいいですね。」
などと言ってくれる企業はほとんどありませんでした。
100社以上回ったと思いますが、
「別にいいんじゃないですか。」
と言ってくれた企業は2,3社でした。(それでも驚きですが・・・)
たいていは
「いやぁー、無理無理。それはうちの会社ではとても手が出ません。」
という回答がほとんどだったのです。
「5千万円くらいなら・・」
と言ってくれた企業も数社ありましたが、おおむね、金額に対しる評価は「無理」「あり得ない」というものでした。
中でも、メーカー系の企業は
「僕らが欲しい福利厚生施設といえば、総合体育館と400mトラックのある競技場があれば十分なんです。」
との回答でした。
豪華リゾート施設のヒアリングに回りながら、私たちも心の中で
『うんうん、それでこそ健全な福利厚生施設への考え方というものだよ。2億円の会員制リゾート施設なんてどうかしてるよね。』
と納得していました。
あまりネガティブなことは書かない私たちのレポートですが、このときばかりは手放しで肯定はできなかったことを覚えています。
その後、バブルがはじけたため、この夢のようなリゾート計画は頓挫しました。
とはいえ、地元への約束もあったのでしょう。
完全撤退という訳にはいかず、かなり規模を縮小して当初の予定とは似ても似つかぬ形態で進められたのです。
これが、私たちが手掛けた案件の中で、当初、最もプロジェクト費用の巨大なものだったのです。
つづく