したたかな人生、祖母の思ひ出―この人だけは敵に回したくないと思わせる人―Ⅰ
【はっはっぴゃくまん円!】
主任研究員さんの話は単刀直入で、
「歴史をテーマにしたテーマパークの建設計画があるのでその需要調査と、日本に既にある主なテーマパークの現状をレポートしてくれないか。」
というものでした。
「アミューズメント関係のレポートのノウハウはあるのか?」
と聞かれて
「もちろんです。遊び関係は任せてください。」
とまたはったりをかましたものの内心『ゲッ!これは難しそうだ』と思いました。
恐る恐る「ご予算は?」と聞くと「800万くらいしか出せないんだけど…」と言われました。
「あ、はあそうですか。ふーん。」と冷静を装ってやっと答えたのですが、打合せを終わってN総研を出たあと「はっはっぴゃくまん!」と足から崩れそうになりました。
当時の私たちには破格の金額だったのです。
【ブーイングのち高評価】
会社に帰って依頼の内容を伝えると、ワクワクしながら待っていたはずの社員からは
「そ、そんな難しい案件、僕らに出来るわけないじゃないですか。」
とブーイングの嵐です。
「うるさいっ!やるしかねーんだよ。」
となだめたりすかしたりしながら、全員で取りかかりました。
今のようにインターネットなどない時代でしたから、すべて足で調べるしかありません。
今度は外注に丸投げするようなズルは決してしないで、必死になってリサーチしました。
かなりの手間と時間はかかりましたが、何とか仕上げて納品しました。
彼らは手放しで褒めるようなことはありません。
クールな感じでレポートに目を通していましたが、「お、これは予想以上だぞ。」と、目がきらりと光るのを私たちは見逃しませんでした。
おそらく評価が高かったのだろうということは、その後レギュラーで仕事をくれるようになったことで察しがつきました。
N総研の仕事をこなしたということを会社案内に書き込めた効果は絶大で、その後の営業にかなりの好影響を及ぼしました。
つづく