青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
Ⅲマーケティングビジネスの実績
【ビッグネームにアタック】
さて一方で、マーケティングリサーチの仕事の方は、比較的順調に受注が取れるようになりました。
いろいろな仕事を受けましたが、最初の大きな案件はよく覚えています。
いくつかの名の通った企業のレポートをこなした後、もっとビッグな案件はないだろうかと、少し欲が出てきました。
いろいろ考えた末、私たちは、シンクタンクに当たってみようと作戦を立てたのです。
シンクタンクだったら大きなプロジェクトのコンサルティングやリサーチを抱えており、きっと孫(まご)請けくらいには使ってくれるだろうと考えたのです。
どうせ当たるんだったら業界トップを狙えということで、なんとN総合研究所にアタックすることにしました。
N総研に初めて電話をした時、ボタンを押す指先がかすかに震えたのを今でも覚えています。
【奇跡のアポ成功】
電話にはまず女性が出ました。
私がこちらの会社の概要を伝えて、「しかるべき人に繋いでもらえないか。」と頼むと案外すんなりと取次いでくれました。
そのときは、主任研究員という立場の人に替わりました。
主任研究員さんは、私の話をひとしきり聞いた後、
「わかりました。それではとにかく御社の会社案内を送ってください。」
というのです。
「すぐ郵便で送ります。」というと、「いや、面倒だからFAXで送ってくれ。」との返事。
私は製本してあった会社案内をバラバラにしてFAXしました。
30分もしないうちに折り返し電話がきて「明日会いましょう。」ということになったのです。
次の日、横浜郊外にあるN総研の入っている高層ビルに向かいました。
入口には身長180センチを軽く超える屈強そうなガードマンが2人立っていました。
アポを伝えると入れてくれて、ガードマンとは対照的な可愛い女の子のいる受付を通り、電話の主任研究員と会いました。
つづく