青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
(3)大きな仕事、1発目は同窓生から
【虚勢の同窓会】
その頃の私は、あれこれ回り道した後の再社会人生活でしたので、本来ならば同窓会などでも肩身の狭いところだったのですが、そういう場では敢えて虚勢をはって名刺などを配っていました。
「マーケティングリサーチ」という当時では訳のわからない業種だったにも関わらず、
「こういう分野がこれから注目されていくビジネスなんだぜ。だから、お前らも何か困ったことがあったら連絡しろよ。力になってやるから!」
などと、同級生のエリートビジネスマン連中を煙に巻いていました。
【エリートの悩み】
ところが同窓会から半年後、その中の1人から本当に電話が来たのです。
彼は東大の理工系を卒業したあと或る大企業のメーカーに就職、会社から大学院に派遣されて医学博士にまでなったまさにエリート中のエリートでした。
どういう訳か超劣等生だった私とも結構親しくしており、たまに酒を飲んだり麻雀をする仲でもありました。
彼は社内で「新規事業開発部」に所属していましたが、どうも仕事の方向性が掴めなくなったらしく困った上での連絡でした。
当時の彼のテーマは「リゾート開発」で、この分野はライバル会社に先行を許していました。
そこでそのライバル会社のノウハウをリサーチしたかったようですが、方法が分からず困っていました。
「調べてもらえるか?」
の依頼に
「まかせとけ。俺たちはヤングマーケットやリゾートなど遊び関係には強いんだ。」
とはったりまじりの啖呵を切ったのです。
それでは、ということでリゾート一般の研究とライバル会社のノウハウ調査を含めて初めてマーケティングリサーチの仕事らしい仕事の依頼を受けました。
予算は確か80万円くらいだったと思います。
つづく