専門領域と一般領域の境界―大事だよね、退屈させない専門性の伝え方―Ⅱ
我々大人は、普段様々な経済活動を行ないながら生きています。
ここでいう「経済活動」というのは、わかりやすく言えば「なんらかの仕事をしている。」ということになります。
もちろん人間は、経済活動だけではなく、一人でボケっとしたり、カミさんに怒られたり、つまらんバラエティー番組にゲラゲラ笑ったり、娘の交際相手を気にしたり、体重計のメモリに一喜一憂したり、というプライベートな時間や生活もないわけではありません。
ただ、どんな人でも大人であれば、少なくとも仕事に向き合っている時間は、「経済活動」を行なっている、と言って差し支えないでしょう。
さて、この経済活動を行なっている時間や状況は、「我々が、何らかのビジネス社会に所属している。」と言い換えることができるでしょう。
そう、様々な職業の人たちが様々な形でこの「ビジネス社会」に所属しているのです。
さらにこの一般的な「ビジネス社会」を仮に「一般領域」とネーミングしてみました。
なぜこんなことをするかといえば、「ビジネス社会」に所属している様々な人々の様々な職業から提供されるそれぞれの専門性が、全体である「一般領域」とどう関係するか考えてみたいからです。
という訳で、それぞれの職業が持つ専門性については「一般領域」と対比させる意味で「専門領域」とネーミングしてみました。
この「一般領域」と「専門領域」との比較、或いは関係性について考えてみたいと思います。
それは、「全体」としての「一般領域」と「個」としての「専門領域」に分けて考えてみることで、現代ビジネス社会への理解が深まるのではないか、と思ったからにほかなりません。
例えば、私の職業である税理士は、「一般領域」に所属する様々な職種のクライアントと顧問契約を結び、税務のエキスパートとしての専門性を提供してきました。
「税務に関してわからないことがあれば、こちらの専門性を提供しますのでどうぞご依頼ください。」
というスタンスをとり、いわばこちらの領域に引き込むベクトルで仕事をしてきたといえましょう。
つまり、税務という「専門領域」をしっかりと守り、「顧客側からその領域へ入ってくるのであれば、こちら側の専門性をご提供しますよ。」という姿勢で仕事を行なってきたのです。
その際、「専門領域」はできるだけ限定的に絞るに越したことはありませんでした。
その方が効率的だったからです。
つづく