2代目経営者への提言Ⅱ
前回の「2代目への提言」は100%私の私見です。できるのであれば多面的な考察も必要でしょう。
そんなことを考えていたらちょうど面白い著作「武蔵野」の社長小山昇氏の「絶対に会社を潰さない社長の営業」という本にであいました。小山氏は経営者の中では大変高名な方です。「絶対に会社を・・」は、やはり2代目(正確には後継者)に対してメッセージを発信している本で、強烈に叱咤激励しています。
小山氏の持論は「創業者に比べて二代目以降の社長の質が低下したから日本経済はダメになった。」というところから始まります。
「中小企業が儲かるも儲からないも、すべては社長次第。それなのにその社長の質が、明らかに落ちている。(中略)何が何でもやりとげてやるという気力においても、危機に瀕しても諦めない胆力においても、人を惹きつける人間的な魅力においても、時代の潮目を読む先見性においても、すべてにおいて先代社長の方が勝っている。」と、いきなり二代目経営者を喝破します。
なるほど、と納得できるところもありますが、私とは意見が違うなあ、と思うところも少なくありません。とはいえ、小山氏は多大な実績を作ってきたカリスマ経営者、こう断言されるとなかなか反論はできないなあ、と思います。
で、低迷する会社の実績回復のための処方箋は「社長が外へ営業に行くこと」と断言します。これには私も賛成。
ただ、私が小山氏と意見が違うのは「先代は営業でも何でもがむしゃらに取り組んだのに二代目は営業しないからダメなんだ。」という点です。
先般書きましたように、高度成長時代、強烈な成功体験を収めた先代経営者は、そもそも本当に大変な思いをする営業を経験していません。売り手が主導権を握っている時代だったのですから。もちろん営業経験ゼロとは言いませんが、それは今通じる手法とはかなり違ったものだったでしょう。
今に通じる手法とは「売れない時代にものを売る。」という手法です。それを教えることなく、昔ながらのやり方だけを伝えるのはダメですよ、と私は言いたかったのです。とはいえ、小山氏は営業の大切さを説き、トップ営業の影響力によって会社は変わるといっておられるのですから、二代目だろうが創業者だろうがその通りにやればいいと思います。営業の重要性を理解し、的を得た仕事の仕方を実践すれば創業者だろうが後継者だろうが成功するでしょう。