若者の承認欲求を上手に満たす育成術
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「承認」とは、決して「ほめること」だけではない

多くの企業では、あと2か月足らずで新入社員が仲間入りします。ここで、新人を育てていくうえで欠かせない「承認」について考えてみたいと思います。
新人にとって、新しい職場は右も左もわからない自信のない場所です。仕事はもちろん、職場には独自の慣習もあるため、慣れるまでには相当ストレスがかかります。でも、そんな状況だからこそ「承認」が生きてきます。「承認」というと「ほめること」に結びつけてしまい、「ほめるのは大切だとわかっているけれど、なかなか口に出して言えない」という話をよく聞きます。しかし、新人は「ほめられたい」というより、自分のやっていることが上司からどう判断されているのか、つまり「良いのか悪いのか」を知りたいのです。育成に必要な「承認」は、決してほめることだけではありません。
「承認」のコツは、具体性を持ってありのままに伝えること
「承認」にはコツがあります。まず、お世辞や歯の浮くような言葉で抽象的にほめたてるのではなく、具体性を持ってありのままに伝えることです。例えば、一度注意したことは決して繰り返さない若手社員がいたとします。そんなとき、「君はすごいね」などの漠然とした言葉より、「君は一度注意したら二度と繰り返すことはないんだね」と言った方がベター。つまり、自分の言動が「承認」されると、「良いこと=認められること」と認識し、自分の強み、自信へとつなげていきます。
社会人1年生を指導する際には、一から教えることが多く、注意したり叱ったりする場面が多いはず。注意する側からすると、「まだまだ戦力にならず大変だ」という思いが先に立ってしまいます。しかし、見つける努力をすれば、彼らに小さい「成長」があるはずです。上司の期待レベルには程遠いけれど、少しずつステップアップしている「小さなこと」を見つけてあげてください。そして、具体的に伝えてください。「承認」された事柄は、自分の「強み」として意識するようになり、どんどんブラッシュアップされていきます。こういった「強み」が元気をもたらし、メンタル面でもプラスの効果をもたらします。
このとき、先入観は、評価基準を揺るがしてしまう、やっかいなものです。例えば、物おぼえの悪さが目につき、気にさわる新人がいたとします。その人が、他者より抜きんでた「強み」を持っていたとしても、「この子は未熟だな」といった思い込みが、相手を正しく見る目を曇らせてしまいます。新人のためにも、感情はひとまず置いて、客観的に見ることを忘れないでください。難しいことですが、指導育成する立場には大切なことです。
存在そのものを認めることも大切な「承認」
もう一つ有効な「承認」は、「存在そのもの」を認めることです。この最たるものが、「あいさつ」です。あいさつをされて不快になる人なんていません。これは老若男女を問わず、万人共通です。新人は、上司の一挙一動が気になる中で、多くの指導を受け、注意、叱責されています。しかし、仕事を離れた部分で、上司の方から「おはよう」「お疲れさま」と声をかけることで、「上司は、僕(私)のことを嫌いなわけではないんだ」と、自分が怒られる理由を「業務の未熟さ」だと割り切ることができ、上司に対して信頼感を持つようになります。
このように、ひとつずつ「承認」を重ねることで部下との信頼関係が構築され、より良い組織づくりへとつながっていきます。新人の頃に上司が承認してくれた一言は、きっと一生の宝物として心に残ることでしょう。
〝気付き〟によって自発的行動へ導く接遇マナー講師
浜田純子さん(株式会社モアグロウ)
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