副業前に必ず確認したい 就業規則という盲点
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副業を始めようと思ったとき、最初に何を調べますか?「どんな副業があるのか」「いくら稼げるのか」を先に考える人は多い一方で、「自分の会社で副業ができるのか」を最初に確認する人は、意外に少ないものです。
Aさん(44歳、中堅メーカー勤務)の話をします。昨年春から動画編集の副業を始め、半年で月に2〜3万円を稼ぐようになりました。ところが上司から「うちの就業規則を読んだことがあるか」と問われ、初めて確認したところ、「会社の許可なく他の業務に従事してはならない」という条項が残っていました。副業はその後も続けることができましたが、事前に届け出ていなかったことで上司との信頼関係がぎくしゃくしてしまいました。「実はやっていました」という事後報告は、たとえ結果的に認められたとしても、職場での印象を損ねかねません。
副業を始める前の第一歩は、就業規則を確認することです。「うちの会社は副業禁止のはず」と思い込んでいる人も、「大手だから自由なはず」と思い込んでいる人も、実際の条文を一度は自分の目で確認する必要があります。
厚生労働省は2018年1月にモデル就業規則を改定しました。それまで「許可なく他社の業務に従事しないこと」という禁止条項だったものを削除し、「勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」という規定へと改めたのです。同時に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が策定され(令和2年9月・令和4年7月に改定)、国が副業を後押しする姿勢を明確にしました(出典:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html)。
この政策転換を受けて、副業を容認する企業の割合は2025年時点で64.3%にのぼっています(パーソル総合研究所「第四回副業の実態・意識に関する定量調査」2025年10月公表)。それでも残りの約36%の企業では、依然として何らかの制限が残っています。「うちは大丈夫」という思い込みは禁物です。
実際に就業規則のどこを確認すればよいのか。「副業」「兼業」「他社への就業」などのキーワードで条文を探し、内容が「完全禁止」なのか「届出制(許可制)」なのかを見分けることがポイントです。届出制であれば、事前に届け出ることで多くの場合は副業が認められます。就業規則は社内のイントラネットや総務部門への問い合わせで閲覧でき、労働基準法第106条は会社に対して就業規則を労働者に周知する義務を定めています。届出の際には副業の内容、副業先の会社名、従事する時間帯などを正直に記載することが、長期的な信頼関係を守る基本です。
仮に「禁止」という文字があっても、諦める必要はありません。実務上は、競合他社への就業や情報漏えいの防止など、合理的な理由のある制限が重視されます。「禁止」の条文があっても、人事部門や上司に「現在の実際の運用はどうなっているか」を確認することが先決です。就業規則が古くなっていて、実質的には容認されているというケースも少なくありません。
副業を始めた後も、継続した注意が必要です。2025年のパーソル調査では、副業実施者の26.9%が「過重労働となり、仕事に支障をきたした」「過重労働となり、体調を崩した」と回答しています(パーソル総合研究所「第四回副業の実態・意識に関する定量調査」2025年10月公表)。副業を認めている会社でも、本業へのパフォーマンスへの影響が大きい場合は中止を求められることがあります。「できるかどうか」の確認だけでなく、「どこまでやるか」のコントロールもあわせて考えることが、長く続けるための秘訣です。
副業を希望する人は今や66.7%にのぼります(Job総研「2025年 副業・兼業の実態調査」)。これだけ関心が高まっている時代だからこそ、「知らなかった」では済まない状況が増えています。就業規則という一枚の書類をまず確認する。その一歩が、副業を長く安心して続けるための出発点になります。
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