国語で読み解く麻生氏ナチス発言
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国語の特質から麻生氏ナチス発言を検証
私たちの国語(日本語)は、「膠着語(こうちゃくご)」と呼ばれる種類の言語です。主たる意味をあらわす自立語に、文法上の意味を添える助詞や助動詞が付属して、文節の意味が成り立ちます。そして文全体では、述語は最後に置かれ、その間に多様な修飾語(部)が入ります。したがって、基本的に主語の次に動詞が来る英語などと比べると、文が意図する内容は全体を読んで初めてわかる、という特質があります。つまり「言葉と言葉のつながり」が非常に重要で、それが文全体の意味を決めるわけです。
さて、こうした面から、今回の麻生太郎副総理のナチス発言を検証してみます。問題になったのは、わが国の憲法改正に関連して、ナチスとヒトラーを引き合いに出した点です。
<僕は今、(憲法改正の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出て来たんですよ。>
この後に「ヒトラーが軍事力ではなく選挙で政権をとったこと」を述べています。引用した麻生氏の発言を「文」として見た場合、冒頭の「僕は」という「主語」に対する「述語」が欠落しています(ちなみに、二文目以降にもありません)。よって、彼がヒトラーのことについて「どう思うのか」は明言されていないわけです。
「悪しき例として取り上げた」という釈明は「珍説」
こうした明言を避けるような言い方は、ある年代以上の、特に政治家の発言などにはよく見られます。きれいな話し方かどうかは別にして、麻生氏に限ったことではありません。そして、「~と思う」と明言していないことが、発言撤回コメントにおいて「悪しき例として取り上げた」という「珍説」の開示を可能にしたのでしょう。「珍説」と言ったのは、こうした言い回しで終始している全体をどう読んでも、ナチスが悪い例えとして用いられているとは、文脈上、考えられないためです。
また、国語として何より問題なのは、最後の方で言った「あの(ナチスの)手口学んだらどうかね」の部分です。広辞苑ほかの国語辞典ではみな、「手口」は「犯罪などのやりくち」などとなっています。それに「学ぶ」と言ってしまったことこそが、言葉の使い方として、さらには重職にある人の発言として、大いに指摘されるべきところではないでしょうか。
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