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  1. 広がる「黒字リストラ」 年齢が問題ではない?対象になるのはどんな人?

広がる「黒字リストラ」 年齢が問題ではない?対象になるのはどんな人?

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リストラ 条件

東京商工リサーチの調査で、昨年2019年に早期・希望退職者を募集した上場企業はのべ36社にのぼり、対象人数は約1万1000人となりました(「2019年1-11月 上場企業『早期・希望退職』実施状況」)。早期退職者が1万人を超えたのは、2013年以来6年ぶり。リストラといえば、企業の業績悪化をイメージしますが、報道によると、直近の最終収益が黒字にもかかわらず、「黒字リストラ」を実施する企業が増加。2020年も、この流れは続くようです。

黒字でも人員削減を行う企業の戦略は。また、企業にとって「ほしい人材」になるために、働く側が意識しておくべきことは。特定社会保険労務士の北村滋郎さんに聞きました。

組織の中で優秀な2割、評価の低い2割がリストラの対象に。会社に依存せず、起業や転職などステップアップの場ととらえることが大切

Q:最終収益が黒字にもかかわらず、早期退職を募る企業が増加している理由は何だと考えられますか?
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政府が進める「働き方改革」や「70歳定年」などで、企業は今後、人件費の負担が増えると予測しています。一方で、ほとんどの大手企業では、売り上げが停滞気味で、今後大幅に拡大する可能性も低いと言えます。将来に備えて、今のうちから人件費を下げ、利益を確保しておこうという企業が増えていると考えられます。

また、NECのように、中高年の早期退職とあわせて、新入社員に対して、能力に応じて年1000万円を支払う制度を導入する企業もあります。一見すると、中高年の人件費を若手に上乗せしているようですが、おそらく入社時から定年まで賃金がどんどん上がるしくみではない可能性が高く、一人あたりの生涯賃金で考えると、中高年と若手で変わらないはずです。

また、AIなどデジタル技術を活用し、業務の合理化を行う企業も増えています。システム導入費用など固定費が上がるため、人件費にしわ寄せがきている面もあります。

Q:黒字リストラの対象になるのは、どんな人でしょうか?
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45歳以上など年齢を設けている企業もありますが、今後は年齢で区切られないと予想されます。

いわゆる「2・6・2の法則」では、組織内で、上位2割が優秀、6割が平均、2割は働きがよくない人とされます。リストラの対象となりやすいのは、このうち上位2割の優秀すぎる人と、下位2割の評価が低い人です。

いまだに、大企業ほど既存のスタイルを打破しようとする優秀な人材が上司から疎まれ、力を発揮できないケースがあります。このような人は、会社からリストラを宣告されるというよりは、自分から外に出ていくケースが多いようです。

また、AIやロボットにとって代わられる単純作業をこなすような人材は、そのような技術導入が進んでいない子会社への出向となる可能性もあります。

Q:希望退職者の募集で、当初の見込みより多く集まった例もあるようです。チャンスととらえる人が増えているのでしょうか?
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特に、前述の組織の中で上位2割を占めるとされる優秀な人材は、起業やフリーランス、個人事業主の道へ進む人が多いようです。

30代、40代では、組織の中で出世したいという意欲を持つ人が少なく、それよりも、世の中に役立つことを自分で事業化したいと考えるようです。働き方改革で副業を認める企業も増えており、本格的な起業に踏み出す前に、きっかけを作りやすい環境になってきていることも大きいですね。さらに、企業の業績がいい中でのリストラは、退職金の上乗せなども期待でき、起業を考える人には資金としても魅力です。

また、大企業の経験をもとに、中小企業に転職する道もあり、中小企業からの引き合いも少なくありません。ただ、企業規模や業務内容などでギャップも大きいため、中小企業に一からなじむ素直な姿勢も必要です。

Q:企業が求める「ほしい人材」とは?働く側が普段から意識できることはありますか?
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企業の社長からは、「積極的に動ける人」「会社に改革をおこしてくれる人」などが挙がりますが、ひとたび組織に属すると、「社長には従順な人がいい」「終身雇用は難しいし、賃金もそこまで上げられない」など、会社の都合が優先されます。

これからの時代、働く側は会社に忠誠を尽くす必要はありません。「自分がステップアップできる」「起業に役立つ」など会社を利用し、自分で稼ぐという意識を持つことが大切です。その意識が、仕事上での「積極性」「既存のスタイルの打破」などにつながり、組織の中での評価にもつながります。

Q:2020年もすでに、「黒字リストラ」を公表している企業があります。今後もこの流れは続き、人材の流動化が進んでいくのでしょうか?
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何代も続く大企業ほど、平均的な人材が多くを占め、新たなイノベーションが生まれにくく、先行きは不透明です。今後も「黒字リストラ」など、人件費を削減する動きは進むでしょう。
また、中小企業は資金力で大企業にかなわず、画期的な技術が生まれても、M&Aなどで吸収されるケースも少なくありません。

どんな会社にいても先を見通すことが難しいこれからは、会社勤めを長く続けるのではなく、「一億総個人事業主化」の時代になるのではないかと考えています。

人生100年時代には、65歳で定年を迎えたとして、その後35年間を退職金や貯金、年金だけでは「逃げ切れません」。65歳以降も働き続けることが前提となり、人生でキャリアを二回形成する必要があると意識してください。

60代になってから考えるのではなく、40代のうちから二度目のキャリアを見据えて、自分の進みたい道を考えておきましょう。

北村滋郎

新時代を生き抜くための人生と経営をアドバイスするプロ

北村滋郎さん(M&M企画(社会保険労務士事務所))

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